2015 Fiscal Year Research-status Report
「アメリカ人」アイデンティティにおける人種概念の中の「血」と「場」表象の研究
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15K02356
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
杉山 直子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20213506)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / 人種 / マーク・トウェイン / まぬけのウィルソン / ウィリアム・ディーン・ハウエルズ / ヘンリー・ジェイムズ |
Outline of Annual Research Achievements |
<資料収集>MLA インターナショナル・ビブリオグラフィ、JSTOR,プロクエストを主に使用し、人種概念について参考文献表を作成し、それに従って文献を収集した。その中で特に今まで収集が手薄であった19世紀から20世紀にかけての米国の人種概念の変遷についての文献収集に大きな成果があった。収集した文献の読解、分析を開始した。 <論文作成・口頭発表>クレメンス学会(7月23~25日、ミズーリ州ハンニバル)において”Another 'Passing' in Pudd'nhead Wilson: The Question of the Racial Identity of the Italian Twins"と題する口頭発表を行い、最終日の総括スピーチで注目すべき発表として言及される等、高く評価された。 またこの学会期間中、多くの米国および諸国のマーク・トウェイン研究者と交流する機会があり、口頭発表についてのレビューをうけた。口頭発表およびレビューを元に論文を作成し、米国の学術誌への投稿を行った(現在審査中。受理されなかった場合は他の学術誌へ投稿する予定。) ウィリアム・ディーン・ハウエルズ「インペラティブ・デューティ」とヘンリー・ジェイムズ「デイジー・ミラー」についての論文作成のために資料を読解、論文執筆を開始した。 本研究のテーマである「血」と「場」のうち「場」としての米国のイメージ変遷にとって重要な「移民による変容」という観点から、「移住」をめぐる様々な文献に注目する論文を構想、執筆を開始した(2018年に論文集の一部として発表予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マーク・トウェインについての研究は予定通りに進んだが、ハウェルズとジェイムズについての研究は口頭発表や研究ノート発表の完成に至らなかった。発表媒体を探すことも含め、事前の準備不足が原因である。本務校の業務多忙(大学院専攻主任・英語教育改革委員)がその理由の大きな部分である。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね申請計画に従って口頭発表・論文・および書籍による発表を遂行していくが、平成27年度の資料読解の中で。本研究にとって重要な概念である「移民」(あるいは「移住」)イメージの研究についての論文を本年度中に完成させる。 同時に、平成27年度中から行っているハウェルズとジェイムズについての論文も完成をめざし、まずは口頭発表で成果を発信する。昨年度の反省をふまえ、発表媒体等の情報を早くから集め、確実に発信の場が確保できるように留意する。
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