2016 Fiscal Year Research-status Report
異文化空間としてのトランスパシフィック―アジア系アメリカ文化の太平洋横断的展開
Project/Area Number |
15K02362
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
麻生 享志 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (80286434)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トランスパシフィック / アジア系アメリカ文化・文学 / トランスカルチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 資料調査 1) カリフォルニア州立大学バークレー校; 2) スタンフォード大学; 3) カリフォルニア大学サンタバーバラ校にて、アジア系アメリカ文化・文学・歴史に関する資料調査等を実施した。調査資料のなかには、今回調査にあたった図書館のみが所蔵する貴重なものも多く含まれる。 2. インタビュー、意見・情報交換 1) Viet Le (California College of Arts) <https://www.cca.edu/academics/faculty/vle >. カリフォルニア大学サンタバーバラ校グラスボックス・ギャラリーにて特別展Love in the Time of War の展示を担当したキュレーターのひとりViet Le とのインタビューを行った。特別展の内容に加え、Le 自身が監督するビデオ作品三部作 “eclipse,” “lovebang!”, “heARTbreak” の制作プロセスについて、詳しい説明を受けた。 3. 論文発表 1)「1.5世代から2世代へ--ヴェトナム系アメリカ文化の現在」Waseda Global Forum No. 13 (2016): 9-24;2)「ヴェトナム系アメリカ文学とポストモダンの交差点--戦後(ポスト)「ヴェトナム」という記憶」AALA Journal No.22 (2016): 17-28. いずれも査読付きジャーナルに掲載された。 4. 翻訳 1) ラン・カオ『蓮と嵐』(彩流社 2016年12月)平成24年度基盤研究(C)「ポストモダニズム以降の文化研究―文化翻訳の実践とベトナム系アメリカ文化」(24520317) にて翻訳権を取得した Lan Cao, The Lotus and the Storm (N.Y.: Viking-Penguin, 2014) の翻訳を完了、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリフォルニア州立大学バークレー校、スタンフォード大学、カリフォルニア大学サンタバーバラ校における、アジア系アメリカ文化・文学・歴史に関する資料調査等は順調に進んだ。一方、バークレー校 Ethnic Studies Library Collection には、短期の調査では網羅することのできない膨大な資料が保存されており、比較的長期に渡る再調査が必要であるとの認識を得た。 現地アーティストの取材では、当初インタビューを予定していた2016年度ピューリッツァー賞受賞作家 Viet Thanh Nguyen が多忙によりキャンセルとなった。映像作家 Viet Le とは有意義な意見交換ができたものの、現地作家との接触の難しさを実感することになった。 一方、研究成果の公表については、かねてより進めていたラン・カオの『蓮と嵐』の出版が実現したのに加え、研究論文「1.5世代から2世代へーヴェトナム系アメリカ文化の現在」(Waseda Global Forum No. 13, 2016)、「ヴェトナム系アメリカ文学とポストモダンの交差点ー戦後(ポスト)「ヴェトナム」という記憶」(AALA Journal No.22, 2016) を公表することができた。 また、アジア系アメリカ文学研究会の第24回年次フォーラム (2016年9月24日於・神戸大学) では、「ポストモダニズムとアジア系アメリカ文学」というテーマの下、「ヴェトナム系アメリカ文学とポストモダンの交差点ー戦後(ポスト)「ヴェトナム」という記憶」について招待発表を行った。 以上のことから、2016年度の研究は概ね順調に進んだといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度にあたる2017年度は、2度の招待発表に加え、研究論文の発表、研究書執筆の開始を予定している。 招待発表については、1)「記憶と歴史: ラン・カオの『蓮と嵐』を中心に」(第89回日本英文学会、2017年5月21日於・静岡大学); 2) “JAAS-ASAK Roundtable: The Theater and the Theatrical: Reconsidering American “Drama” in the Age of Trump: “Ethical, Political, Theatrical: On the Works of Dinh Q. Le;.” (アメリカ学会第51回年次大会、2017年6月3日於・早稲田大学) が予定されており、それぞれヴェトナム系を代表する作家、映像アーティストの作品等について論じる予定である。 また、Dinh Q. Le; については、アメリカ学会の査読付きジャーナル(英語版)JAAS English Journal, no. 28 に論文 “Ethics of the Transpacific: Dinh Q. Le;, San Art, and Memories of War” を掲載することが決まっており、本稿はすでに校了となっている。 一方、2018年度の発刊を目指して、これまで積み重ねてきたヴェトナム系アメリカ文化・文学を中心とする研究書の出版を目指している。すでに一部の草稿はほぼ完成しており、2017年夏のアメリカ現地調査を経て、結論部の執筆に取りかかりたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた資料整理用のモバイル型PCの購入を見送ったため。見送り理由は、予定していた機種のモデル変更が近々行われるため、現行機種の購入を控えることにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き資料整理用のモバイル型PCの購入を予定している。新機種が発売されたところで購入し、今後の研究資料の整理・保存、データベース化に利用したい。
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