2017 Fiscal Year Annual Research Report
Representation and Reality of Chagossians in Literary Texts
Project/Area Number |
15K02365
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
小池 理恵 常葉大学, 外国語学部, 准教授 (80329573)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チャゴス難民 / モーリシャス / 米軍基地 / 基地難民 / 沖縄文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる目的は、直接関係3か国「英・米・モーリシャスの文学を通してのチャゴス難民の現状把握」である。同時に米軍基地の存在により故郷を追われたチャゴス難民たちの問題を文学作品を通じて広く世界に知らせることでもある。また最終年度は特に国際司法の場での本問題の進展がみられる中で、難民たちが帰島後直面するであろう米軍との諸問題を沖縄文学の精読を通し提示した。 モーリシャス共和国は1968年に英国連邦の独立国として出発し、1972年共和制に移行後、内政的には外交的にも安定しているかのように捉えられてきた。しかしながらその周辺は歴史上地政学的にも要所であったことから、モーリシャスの包括領土であったチャゴス諸島は英領とされたのち米軍に貸与されたままである。チャゴス難民をめぐる状況とそれに関連した諸問題は、チャゴス難民センタ―が存在するモーリシャスと英国の国内からの支援と国際司法を巻き込んだ世界的な世論という双方向からの働きかけが必要である。 本研究期間内では、日本人の文学を専攻する研究者としてできること、「チャゴス難民の歴史と現状を知る文学」として日本だけでなく、5ヶ国での国際学会(計6回)で発信した。その際、同様に米軍基地の存在が引き起こした事件、事故、住民たちの苦悩を共通項として持つ沖縄の文学作品との比較研究も行った。扱った作品は以下の5作品である:1.Collen, Lindsey. "Mutiny" 2001(モーリシャス)2.Benson, Peter. "a lesser dependency" 1989(英国)3.Thompson, Stephen Manoj, "Coma Story" 2010(米国)4.目取真俊『希望』1999 5.吉田スエ子『嘉間良心中』1984.
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