2016 Fiscal Year Research-status Report
Missouri州Hannibalの1854年の電子版地図の再構築
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15K02370
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
和栗 了 就実大学, 人文科学部, 教授 (90230937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / マーク・トウェイン / 地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
『マーク・トウェインはこう読め』(東京:柏書房、2016年10月刊行、423ページ)の第四章「故郷を喪失して」と第五章「ハニバルのものかたり」の基礎資料として、1854年出版のハニバル市の地図を活用した。具体的には、マーク・トウェインが少年時代によく知っていた部分はどこで、どの部分を想像力で書いたかをある程度特定できた。さらに、想像力で書いた部分の描かれ方と、記憶をもとに描いた部分の文章の微妙な相違も論じた。また、平成28年度は個人的で抽象的な業績の達成となった。ハニバルという町がマーク・トウェインにとってどのような意味を持ったのかをこの書籍で論じた。この書籍は専門家でも一般読者でも理解できるように書いたものであり、電子媒体の持つ、不特定多数の読者への情報提供をある程度達成できた。この業績は電子化されておらず、出版社の了解を得ながら、部分的にでも電子媒体で公開し、より多くの研究者の利用に供したい。 論文の執筆依頼をしていた米国の研究者たちがそれぞれの理由で執筆できないという、予定外の事態が出来しているが、それぞれの研究者はこの地図に関心を持ち続けているので、研究を継続する。その際、他の町の地図をできる限り収集し、19世紀半ばの米国中西部の地図の特徴を明確にするなどの、共時的視点をも導入する予定である。 同時に、ハニバルの1869年の地図との詳細な比較検討をしながら、微視的で通時的な研究を、現地での調査に合わせて行う。その結果を飼料として公にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定には含まれていなかった論文集の出版が困難になった。欲張りすぎたことは否めない。1854年のミズーリ州ハニバルの地図という特殊なテーマであるため、論文寄稿予定者が難渋したと推測する。 地図を読むことは進んでおり、地図に書き込むことも準備が終了しつつある。2016年8月に就実大学で開催された日本地図学会に参加し、電子地図を作製できる企業も見つかり、企業からの忠告も受けながら、現地の写真と現地に残る地図の写真を撮ることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
ミズーリ州ハニバルの1854年の地図の電子化とその公開という目的は容易に達成できる。それを資料の公開だけにとどまらず、より学問的な調査と解説・解釈をできる限り付け加えたい。現在の写真なども差し支えない限り活用し、公開したい、 複数の研究者による研究(当初の予定にはない)にはならないが、今夏には一区画ごとの調査を終了したい。具体的には、1854年の地図と1869年の地図を一区画ごとに比較検討し、現場でも確認するという作業を行う。それをもとに解説・解釈の最終稿を執筆する。
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