2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Electronic Reconstruction of the 1854 Map of Hannibal, MO.
Project/Area Number |
15K02370
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
和栗 了 就実大学, 人文科学部, 教授 (90230937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / マーク・トウェイン / ハニバル / 地図 |
Outline of Annual Research Achievements |
Missouri州Hannibalの、1854年出版の地図と、1869年出版の地図と相互に参照しながら、作品との関係を論ずる研究論文「ホリデイの丘は怪しい:『トム・ソーヤの冒険』の闇の部分」(『就実英学論集』第35号、2018年1月発行、19~43ページ)を刊行した。この中では、Mark Twainが十代の頃からHannibalを二つの面から描いていたことを実証した。ひとつは、標準的な英語で表現された美化された町であり、もうひとつは、実際に使われている言語で語られた町の暗部の実態である。Twainは、新聞記者としては美化された町の姿を肯定しつつも、新しく移住してきた移民や下層民が居住するホリデイの丘の麓部分に強く関心を示している。作家の卵としてのTwainが描いたHannibalを詳しく論じた。詳細な現地調査とHannibalの地図を利用したTwainの作品理解とその公開という目的は充分達成された。 この地図の調査を通じて、Missouri州Hannibalの周辺に在住する研究者数名と知り合い、地図を中心に意見交換を続けている。Twainが小心者であり、冒険などしなかったと伝えられていることや、Mississippi河では泳いだはずがないこと、ほとんど目立たない少年で会ったことも分かった。こうした情報が『マーク・トウェイン完全なる自伝』(東京:柏書房、2013~18年、全三巻)の翻訳の際に非常に有益であった。 1854年の地図は、現在当該研究者の個人のウェブサイトを通じて公開している。この点で所期の目的は達成されたが、Mark Twainを生み出した町の総合的な研究は緒についたところである。今後もHannibal研究を継続し、より包括的なTwainのHannibal研究を公開し続ける。
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