2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02373
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
高梨 良夫 長野県短期大学, その他部局等, 教授 (50163225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正規 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00219213)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エマソン / 鈴木大拙 / 仏教 / ソロー / 環太平洋 / 日米現代詩 / 吉増剛造 / 現代思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者高梨は、エマソンの思想をグローバルな視点から考察する研究の継続として、エマソンの超越主義思想と鈴木大拙の禅仏教の教義の比較的考察を試みた論文“Ralph Waldo Emerson and Daisetsu Suzuki”を英文共著論文集 Thoreau in the 21st Century: Perspectives from Japan に掲載し、書評 Shoji Goto, Emerson's Eastern Education を米国エマソン学会誌 “Emerson Society Papers”に掲載した。また論文「エマソンの〈内なる神〉と仏教の〈如来蔵〉」を執筆、公表した。さらに10月には日本ソロー学会全国大会で研究発表「エマソンとソロー―自然観をめぐって」を試み、キリスト教神秘主義思想研究会に出席し、エマソンをキリスト教神秘主義主義思想の流れに位置付けようとした。 研究分担者堀内の研究は、過去のエマソン研究をまとめた単著『エマソン 自己から世界へ』を出版して、21世紀にエマソンを読むことの意味と意義を明らかにした。更に共著論文集(英文)の Thoreau in the 21st Century: Perspectives from Japan を編集し、同書収録の論文“Uses of the Early Emerson in the Present Age”を著した。題名にある通り、現代における初期エマソンの可能性を探るものである。また共著『アメリカ文学における幸福の追求とその行方』に稿を寄せ、「エマソンにおける〈幸福〉の二つの意味――ハンナ・アーレントからエマソンを見る」を著した。副題にある通り、20世紀の政治哲学者アーレントの著作、『人間の条件』及び『革命について』を援用しつつ、エマソンにおける独自の「幸福」の形について、現代においても有効な論点を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高梨は当初の計画に従い、2篇の論文、“Ralph Waldo Emerson and Daisetsu Suzuki”と「エマソンの〈内なる神〉と仏教の〈如来蔵)」を執筆し、研究成果として公表出来た。また10月に日本ソロー学会全国大会での口頭発表「エマソンとソロー―自然観をめぐって」を試みた。さらに書評 Shoji Goto, Emerson's Eastern Education を米国エマソン学会誌“Emerson Society Papers”に掲載し、エマソン思想のグローバルな影響を指摘出来た。 また堀内は、単著『エマソン 自己から世界へ』を出版した。英文論文集 Thorreau in the 21st Century: Perspectives from Japan を編集し、論文“Uses of the Early Emerson in the Present Age”を執筆、共著論文集『アメリカ文学における幸福の追求とその行方』に論文「エマソンにおける〈幸福〉の二つの意味――ハンナ・アーレントからエマソンを見る」を著した。これらはみな、エマソンの現代的な意味を探るという意味で本研究課題に正面からこたえるものである。また、これらに併行して、既にアメリカの現代詩人 Forrest Gander から受け取っているエマソンに触発された詩作品を翻訳し、詩人吉増剛造にエマソンについてテキスト書いてもらうようにコンスタントに連絡を取り合ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は当研究課題の最終年で、まとめの年度と位置付けられる。高梨は、エマソンの思想をグローバルな視点から考察し、エマソン思想の現代性を解明する研究を継続する。7月にはドイツで開催される、米国エマソン学会が参加するアメリカ超越主義に関する国際学会“Transcendentalist Intersections: Literature, Philosophy, Religion”に出席し、アメリカ及び世界各国のエマソン研究者と意見交換し、研究調査をする。口頭発表「エマソンとソロー―自然観をめぐって」を論文にまとめ、『ヘンリー・ソロー研究論集』に掲載し、またエマソンの思想をキリスト教神秘主義思想のなかに位置付ける研究の成果として、論文「エマソン、コウルリッジ、ベーメ」を執筆し、公表する。さらに英語論文“Emerson's God-within and Buddhist Buddha-womb”を執筆し、米国の学術雑誌への掲載の可能性を探る。 また堀内は、これまで進めてきたアメリカの詩人 Forrest Gander のエマソンに触発された詩と、吉増剛造に書いてもらうエマソンについてのテキストを活字化して chapbookを作成する。ここに両者のテキストとエマソンとの関係を中心にした、コメンタリー及び付論を執筆する予定である。これに関連するが、『吉増剛造と〈アメリカ〉』(思潮社)を7月初旬に刊行する予定である。また、5月には日本アメリカ文学会東京支部でエマソンについて、研究発表を行なうことになっている。
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Causes of Carryover |
高梨は2018年7月にドイツで開催されるアメリカ・トランセンデンタリズムに関する国際学会に参加するため、海外渡航のための旅費などが必要となるため、一定の残額を平成30年度使用分として残した。 堀内は、「今後の研究の推進方策」に記した通り、Forrest Gander と吉増剛造のエマソンに関するテキストを付した小冊子を印刷出版することになっており、その印刷費として一定の額を残すことにした。
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Research Products
(8 results)