2017 Fiscal Year Research-status Report
17-18世紀フランス文学における「恋愛論争」の間テクスト的研究
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15K02382
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤原 真実 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (10244401)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間テクスト性 / 17-18世紀 / 系列 / 論争 / 恋愛地図 / ロベール・シャール / ペロー / カトリーヌ・ベルナール |
Outline of Annual Research Achievements |
1.2017年10月23日から11月3日にかけて、シルヴァン・ムナン氏(パリ第4大学名誉教授)およびジュヌヴィエーヴ・アルティガス=ムナン氏(パリ第12大学名誉教授)をフランスから招聘し、10月25日、首都大学東京において、研究集会「〈系列〉と〈論争〉を通して見るフランス文学」を開催した。第一部では、藤原、アルティガス=ムナン氏と大須賀沙織氏が18世紀の文学論争をテーマに、第三部ではシルヴァン・ムナン氏と吉川一義氏が「系列」をテーマに、研究発表を行った。各発表の題目は次の通りである。M. FUJIARA "La litterature francaise comme colloque virtuel"; G. A-MENANT, "Roman et debat d’idees au XVIIIe siecle"; S. OSUGA, "Autour du debat d’idees au XVIIIe siecle ; a partir des oeuvres de Balzac"; S. MENANT, "Structures serielles du debat d’idees"; K. YOSHIKAWA, "De Corydon a Sodome et Gomorrhe : affinites ou divergences?". いずれも本研究のキー概念である「系列」(間テクスト性)と 「論争」を用いて16世紀から20世紀までのフランス文学を掘り下げつつ読み解いたきわめて有益な論考であり、本研究の推進に大いに資する結果となった。上記の発表原稿の日本語訳を『人文学報』に掲載した。 2.ロベール・シャールのテクストの不均質性について、計量分析学の専門家F.フロンティニ氏(モンペリエ大学)と共同で研究を行い、3月にパリ・ソルボンヌ大学で中間報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究集会の開催準備に多くの時間とエネルギーを費やしたため、17世紀バロック小説および17-18世紀の妖精物語のテクストの分析作業は若干遅れている。しかしその一方で、本研究のキー概念である〈系列〉(狭義の間テクスト性)と〈論争〉の専門家2名をフランスから招聘して研究集会を開催した結果、16世紀から20世紀までのフランス文学について、〈系列〉と〈論争〉の方法論を適用した目覚ましい知見を得ることができた。それらの成果は、本研究代表者が日本語に翻訳して、大学の紀要『人文学報』に掲載した。またロベール・シャールの著作について行った研究発表においても、テクストと作者の相互関係性について知見を深めることができた。したがって、本研究は大いに充実し進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに作業が終わっていないバロック小説群と妖精物語群について、引き続き分析作業を継続して行う。すでに部分的に分析が終わっているスキュデリー嬢、カトリーヌ・ベルナール、シャルル・ペロー、レリティエ嬢などについては、新たな知見をまとめてフランス語論文として発表する。 本研究を推進する中で、スイス・ローザンヌ大学のUte Heidmann教授の研究が、問題設定と研究方法において本研究と多くを共有していることがわかった。今後はUte Heidmann教授とコンタクトを取り、本研究の新たな発展の可能性を追究する。さらに、本研究の総合的な成果を日本語でまとめて、著書として発表するための準備を始める。
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