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2017 Fiscal Year Research-status Report

フランス近現代における社会の変容とネオ・ジャクソニスム的発想の変遷

Research Project

Project/Area Number 15K02389
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

田母神 顯二郎  明治大学, 文学部, 専任教授 (30318662)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
KeywordsPierre Janet / Henri Bergson / Henri Michaux / Jean Piaget / ネオ・ジャクソニズム / フランス精神医学 / ヒステリー研究 / 解離性障害
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は主として以下の2つの方向で研究を進めることができた。1)以前から行ってきた、ネオ・ジャクソニスム的視点に基づくピエール・ジャネとアンリ・ベルクソンの比較研究をいっそう推進することができた。ともに<創造力>を人間のもっとも重要な能力としながらも、ベルクソンの「持続」理論は直観主義的態度に貫かれているのに対し、ジャネの心理学(および精神医学)理論は社会構成主義的態度を特徴とする。この根本的な差異が両者の理論の本質的な対立点を生み出していると言えるが、本年度は、ベルクソンの『創造的進化』から『道徳と宗教の二つの源泉』へ到る思想の変化と一貫性を、これと平行するジャネの『強迫観念と精神衰弱』から『不安から恍惚へ』までの展開と比較しながら考察した。とりわけ、『二源泉』と『不安から恍惚へ』には、他の著作には見られなかったような深い間テクスト性を見出すことができたのも大きな成果だといえる。なお、これらの成果は、後述する二つの論文を通して公表した。2)1)の研究が、通算6本に及ぶ論文によって一応の目標に達したのを受け、本年度後半からは、ジャネの理論と生涯に焦点を当てた研究書の執筆に多くの時間をかけた。まだ完成には到っていないが、400枚を越える草稿を書き、これまで日本ではほとんど知られていなかったジャネの全体像をかなり明らかにすることができるようになると思う。平成30年度内の完成と刊行を目指し 現在も執筆中である。この本の主役はジャネであるが、フロイトやユングやアドラーはもちろん、ベルクソン、ミンコウスキー、ピアジェ、ヴィゴツキー、バシュラール、タルヴィングなども紹介しながら、ジャネ理論の影響力の深さと先駆性を浮き彫りにしていきたいと考えている。また、ジャネの「解離」や「精神衰弱」などの理論が、現代において、ますます重要度を高めているということも強調するつもりである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度は、直接研究に関係するものだけでも二つの論文を発表することができ、ベルクソンとジャネについてネオ・ジャクソニスム的視点から、新しい知見を提出することもできたと考える。また、完成までは至っていないとはいえ、著書として刊行予定の『ピエール・ジャネ論(仮題)』の執筆もかなりの進捗を見せている。この著作においては、ジャネをベルクソンだけでなく、同時代の多くの思想家や精神医、心理学者と比較しているため、よりいっそうジャネの「ネオ・ジャクソニスム」的特質を明らかにすることができると考える。また同書においては、19世紀半ばから20世紀にかけての「社会相」の変化も扱っているため、これが完成すれば本研究の目標をかなり達することができると思う。また、以前から一貫して行ってきた「ネオ・ジャクソニスムの系譜図」作成作業もかなり充実した形で完成に近づいている。

Strategy for Future Research Activity

本研究は比較的順調に進んでおり、現在執筆中のジャネについての単行本を完成させ、刊行することで本研究の目標もかなりの程度達することができると考える。現在、400枚を越える草稿を書いており、これまで殆ど知られていなかったジャネの全貌を新たな視点も交えながら示すことができると思う。この作業が終わったら、次に本研究のもう一つの柱であるアンリ・ミショーについての著作の執筆に取りかかりたいと考える。こちらも、これまでに雑誌論文や博士論文の形で研究を進めており、それらを集大成するものとなるはずである。また、そこにはベルギーやフランスの歴史や社会史が盛り込まれる予定であることも付言しておく。

Causes of Carryover

平成29年度は、研究費を使って、近代における西欧の諸都市の変遷(とくに<伝統と記憶の解体>)について現地視察を行う予定で あったが、諸々の理由から、自費で視察調査を行ったため、次年度使用額が生じてしまった。今年度は、できるだけ研究費を使って、現地視察に行きたいと考えている。

  • Research Products

    (3 results)

All 2018 2017

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] ベルクソンとジャネ(5) <物語>とその彼方2018

    • Author(s)
      田母神顯二郎
    • Journal Title

      文芸研究

      Volume: 134 Pages: 1-31

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 遠い音──追悼 ピエール・パシェ2018

    • Author(s)
      田母神顯二郎
    • Journal Title

      文芸研究

      Volume: 135 Pages: 197-208

  • [Journal Article] ベルクソンとジャネ(4) 「あわい」の思想と二元論2017

    • Author(s)
      田母神顯二郎
    • Journal Title

      文芸研究

      Volume: 133 Pages: 17-45

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2018-12-17  

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