2016 Fiscal Year Research-status Report
18世紀フランスのリベルタン文学と版画がフランス革命に果たした役割についての研究
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15K02397
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
関谷 一彦 関西学院大学, 法学部, 教授 (40288999)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フランス文学 / リベルタン文学 / リベルタン版画 / フランス革命 / 政治的中傷パンフレット |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に実施した研究の成果 ①リストにしたリベルタン文学に、フランス革命前から革命中にかけて流布したマリー=アントワネットや国王を誹謗中傷する政治的パンフレットを追加してリストの充実を図った。 ②2016年8月にリヨンを訪問し、LIREでフランス18世紀に関する共同研究をしてきたDenis Reynaud氏(リヨン第2大学)、Christophe Cave氏(グルノーブル第3大学)、Anne-Marie Faivre氏(リヨン第1大学)、Michael O’Dea(元リヨン第2大学)などの18世紀研究者たちとリベルタン文学の役割について議論を行った。LIREでは、18世紀の新聞・雑誌などの研究実績があるので、彼らとの議論はリベルタン文学とフランス革命の関係を考えるうえできわめて刺激的であった。今後もこうした議論は継続していきたい。 ③フランス革命の起源に関する研究において、重要な基本図書であるモルネの『フランス革命の知的起源』とシャルチエの『フランス革命の文化的起源』を再読することで、本研究の方向性を確認することができた。つまり、リベルタン文学の役割を、フランス革命の文化的な一起源として位置づけることが可能ではないかという問題設定である。 ④リベルタン文学のひとつとしてマリー=アントワネットを攻撃した政治的中傷パンプレット「シャルロとトワネットの恋」を取り上げ、フランス革命に果たした役割について検討し、論文として発表した(関谷一彦「リベルタン文学と政治的中傷パンフレット」『外国語外国文化研究』XVII、関西学院大学法学部外国語研究室、2017年3月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス革命の起源の研究から示唆を受け、方向性が見えてきたこと。また、政治的中傷パンフレットをリベルタン文学の中に加えることで、リベルタン文学がフランス革命に果たした役割がより明確になってきたように思われることが理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度についての計画 ①夏期にフランス国立図書館、リヨン市立図書館などで関連する資料を集める。また、とくに18世紀の図書を中心に集めている書店で図書、版画などを集めたい。 ②政治的中傷パンフレットを含めたリベルタン文学のリストを再構築したい。 ③リベルタン文学を紹介する意味で、いくつかの作品の翻訳に着手したい。 ④フランスのリベルタン版画と日本の春画との比較研究も継続する。
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Causes of Carryover |
購入した図書が予定よりも安かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
さらなる図書費に充てたいと思う。
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Research Products
(1 results)