2017 Fiscal Year Research-status Report
ビュフォン『博物誌』における人類学的思考の意義――ド・ブロスとの比較検討を基点に
Project/Area Number |
15K02398
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大橋 完太郎 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40459285)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 自然史・博物学 / フランス啓蒙期 / 植物学 / ビュフォン / ド・ブロス / 初期人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の成果について、以下のように総括することができる。
1)実証的な観点では、フランスにおいて現地調査を進め、歴史的史料の探索と、実際の歴史的遺物の調査に従事した。ビュフォンの地元であるブルゴーニュ地方の都市モンバールに今も残っている製鉄所を訪ね、最新の文献を獲得しながら現地で該当施設に関する調査を進め、また同時に、近隣の大都市であるディジョンにおいて、当地で発達した製鉄術が当時のブルゴーニュ地方における冶金術の伝統と関連が深いものであった点を確認することができた。その際、ディジョンに残る当時の地元有力者の文書を調査することで、ビュフォンとド・ブロスとの関係についてさらに新たな知見を得る可能性があることも判明した。また、当時のドイツを中心とした博物学の展開についても確認することができた。
2)理論的な観点からは、フランスの17世紀から革命後に渡る自然史の学術的展開を確認することができた。これについては、論文として「怪物・化石・恐竜----フランスにおける近代自然史の展開から」(『現代思想2017年8月臨時増刊号 総特集 恐竜』、青土社、2017年、217-223ページ)を発表し、また国際的な学術会議における口頭発表として“Imagination Improved ― Buffon’s Implicit Influences on British Romanticism―“, (International Conference of British Association for Romantic Studies, University of York, 27th July, 2017.(学内業務のため当日欠席となったため代読発表))という題のもとで発表する機会をもつことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付初年度に所属機関の変更があり、初年次に予定していた資料の閲覧・収集に遅れが生じた。そのため交付期間を1年間延長し、予定された調査を完遂することを再計画した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ド・ブロスにおいて提唱された「フェティシズム」の観念が、当時の自然史や大陸周遊記的な記述と結びついて初期人類学的な見解となった経緯について、ビュフォンとの関係から究明する必要がある。理論的には近年注目されつつあるブルーノ・ラトゥールのものなどを参照することができるが、それにとどまらず実証的なレベルにおいても、ブルゴーニュ的な知識人の当時のあり方を検討することで、初期人類学と博物学との関係について新しい知見を得ることができると考えている。
|
Causes of Carryover |
交付初年次に研究代表者の所属期間変更(異動)があったため、該当年度の夏に予定していた現地調査を延期せざるを得なくなったため。この結果、全体の計画を約1年繰り延べ、2018年を最終年度として計画を完遂する。
|
Research Products
(3 results)