2016 Fiscal Year Research-status Report
現代ロシア文化における文学と視覚芸術の相互的影響の解明
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15K02404
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鴻野 わか菜 千葉大学, 文学部, 准教授 (50359593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ロシア文学 / ロシア美術 / ロシア文化 / 児童文化 / 現代美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) アレクサンドル・ポノマリョフ研究:美術作家で詩人であるアレクサンドル・ポノマリョフの来日に伴い、インタビューを行い研究のための資料収集を行うと同時に、香川県での芸術祭参加のための補助を行った。研究の成果として、論考1本、論文1本「アレクサンドル・ポノマリョフの詩「陽光降りそそぐ極圏の終わらない昼」と南極ビエンナーレ」を発表した。 2) ニキータ・アレクセーエフ研究:ニキータ・アレクセーエフの来日に伴い、アレクセーエフの美術作品における日本のモチーフについて、長野、東京等で共同調査と討議を行い、研究の成果として「ニキータ・アレクセーエフ「日本についての書簡」」を発表した。また、千葉大学にて公開セミナー「ニキータ・アレクセーエフ、作品と日本について語る」を開催した。 3) ロシア美術研究:ポノマリョフがコミッショナーを務める第1回南極ビエンナーレに参加し、日本の芸術祭とロシア美術の受容について国際学会で招待講演を行い、ビエンナーレの調査を行い、論考を発表した。 4) エカチェリンブルクの美術と詩の研究:ウラル連邦大学のタマーラ・ガレーエワ教授と共同討議を行い、エカチェリンブルクの現代美術、視覚詩について研究を進め、千葉大学にてガレーエワ教授の公開講座を実施した。 5) 象徴主義の美術・文学・音楽の相関関係:ガレーエワ教授、ロシア人文大学ジーナ・マゴメドワ教授と共同討議を行い、ロシア象徴主義におけるジャンルの越境性について研究を進め、千葉大学にてガレーエワ教授の公開講座を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ロシア現代美術、現代詩、象徴主義文学と文化についての研究を進め、主に現代美術と現代詩に関して論文、論考を発表した。これまでの研究の成果として、南極ビエンナーレに研究者として招聘され、国際学会で招待講演を行った。 ロシア文学・現代美術について、作家、詩人、ロシア人研究者らと討議を行い、国内でも公開セミナーを開催し、研究の成果を公開した。 ロシア現代美術研究の成果をいかして、日本の地方自治体の芸術祭へのロシア人アーティストの招聘、コーディネート、資料作成に携わり、研究の成果を社会に還元した。
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Strategy for Future Research Activity |
現代ロシア美術と詩を中心とする現代ロシア文学の研究を進め、美術家のテクスト、ヴィジュアル・ポエトリーなどのアーカイブの分析を行う。夏期にモスクワの現代美術館ガレージのアーカイブの調査を予定している。 その際に、現代美術作家の作品調査をあわせて行う。ナセトキン、チシコフ、バダニナ、若手作家の作品調査を行う。 アレクセーエフを千葉大学に招聘し、アレクセーエフの創作における日本的主題についての研究を継続して行い、作品の展示と公開レクチャーという形で研究成果を一般に公開する。 現代ロシア文学における日本のモチーフについての討議もモスクワの文学者と実施する。日露の現代俳句の比較について、およびその視覚的表現についての研究に取り組む。 絵本と児童詩を中心とするロシア児童文化の調査を行い、日本や他の国の絵本や児童文化と比較し、絵本・児童書のテーマや構成、表現の相違についていっそう調査を進める。
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Causes of Carryover |
現代美術の研究に主に取り組み、文学研究を次年度の課題としたため、文学研究に必要な書籍を購入しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はロシア現代詩の研究にも取り組むため、主にロシア滞在中に詩の研究に必要な書籍を購入する。
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