2015 Fiscal Year Research-status Report
パリ亡命ロシア文壇の言説空間に関する研究:「亡命文学」概念の生成現場として
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15K02421
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
三好 俊介 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (00311853)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロシア文学 / 亡命ロシア文学 / ロシア詩 / ホダセヴィチ(ホダセーヴィチ) |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の初年度は資料収集と分析に重点を置き、研究対象の中心である詩人ホダセヴィチのパリ亡命下における文筆活動や、彼とナボコフの協働、周辺の文壇事情等に関する各種資料を収集するとともに分析を進め、次年度以降の研究に向けて基盤を整備した。また、成果発表については当初、2年目以降を予定していたが、本年度に研究成果の一部を発表する機会を得て、亡命初期のホダセヴィチの文筆活動に関する論考を共著書の形で発表した。それぞれ、具体的には下記の通りである。次年度以降に集中的に行う予定の、日本国外における資料収集に向け、必要な準備が整ったと考える。
1.資料収集 :パリ亡命ロシア文壇(ホダセヴィチ、ポプラフスキー、ゲオルギー・イワーノフなど)、および隣接領域(プラハにおける亡命ロシア文壇)に関わる各種の博士論文(欧米大学のもの)を購入した。また、北海道大学に出張し(平成28年3月14日~17日)、附属図書館の所蔵する関連資料(北海道大学スラブ研究センター旧蔵本)を閲覧・複写した。
2.成果発表 :共著書『18世紀ロシア文学の諸相』(金沢美知子編、水声社、平成28年3月刊行)において「ヴラジスラフ・ホダセヴィチと18世紀ロシア―評伝『デルジャーヴィン』をめぐって」の項を担当した。この文章は、研究代表者自身が『日本18世紀ロシア研究会年報』第9号(平成25年刊行)に発表した単著論文「ヴラジスラフ・ホダセヴィチと18世紀ロシア―評伝『デルジャーヴィン』の理解に向けて」を原型としつつも、本年度の科学研究費による研究で得られた知見に沿って加筆・改稿を施したものであり、パリ亡命時代初期のホダセヴィチの文筆活動を扱っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は日本国内における資料収集(図書購入と北海道大学図書館への出張)について、概ね計画通りの進捗を達成することができた。2年目以降に順次行う予定であった成果発表については、本年度に一部を前倒しで行うこともできた。他方、国外における資料収集出張については、研究代表者の所属機関・学会の公務や研究上の都合、および欧米・ロシアにおける治安情勢を考慮して、実施を約半年延期することとした。すなわち、平成27年度に実施予定であった初回の国外出張(ロシア)は、平成28年夏に行うことにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
国外出張については、平成28年夏の第1回出張(ロシア)に続き、平成28年度末に第2回出張(米国)を行うことにより、当初計画に沿う進捗を回復できる見込みである。それ以外の研究推進については、当初計画からの変更はない。
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Causes of Carryover |
1.北海道大学への出張(平成28年3月14日~同3月17日に実施済)の旅費と当該出張に伴う複写費は、時期の関係で上の表には未反映である。 2.国外への資料収集出張(ロシア)1回を実施していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由「1.」の額については、実質的には使用済みであり、次回の報告書に反映される。 理由「2.」の額については、当該の国外出張を半年延期して平成28年夏に実施する。これ以外の次年度使用額は、当初計画どおりを予定している。
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Research Products
(1 results)