2016 Fiscal Year Research-status Report
パリ亡命ロシア文壇の言説空間に関する研究:「亡命文学」概念の生成現場として
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15K02421
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
三好 俊介 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (00311853)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロシア文学 / ロシア詩 / 亡命文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて資料収集と分析に重点を置き、研究対象の中心である詩人ホダセヴィチのパリ亡命下における文筆活動や、彼とナボコフの協働、当時の文壇事情等に関する各種資料を収集した。国外における集中的な資料収集に着手したのが、今年度の特徴である。また、今年度以降は成果発表にも軸足を移してゆく計画であったが、概ね当初の予定どおり、単著論文1本を発表し、口頭発表1回を行うことができた(各々テーマは異なっており、口頭発表については翌年度以降に論文化する予定)。具体的には下記のとおりである。 1.資料収集:パリ亡命ロシア文壇、および隣接領域に関わる各種の博士論文(欧米大学のもの)を日本国内で購入した。また、ロシア連邦サンクトペテルブルク市に資料収集出張し(平成28年9月2日~12日)、国立図書館、新刊書店、古書店において多数の資料を収集した。 2.成果発表:論文「大戦と革命の試練の下で : V・F・ホダセヴィチ盛期モスクワ詩篇をめぐって」(『駒澤大学外国語論集』第21号、221-248頁。平成28年9月刊行)を発表した。この論文は、亡命期ホダセヴィチ詩の基盤である、盛期ホダセヴィチ詩学の確立過程について新たな知見を提示するものである。 また、「戦間期ヨーロッパのロシア世界(ルースキイ・ミール)」研究会(平成29年2月16日、於駒澤大学会館246)において、口頭発表「亡命期ホダセヴィチ詩篇を読む:『ソレントの写真』」を行った。内容は、亡命ホダセヴィチ詩篇の代表作の一つについて詳細な注釈を加えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の公務や現地治安情勢などのため前年度に実施を見合わせていたロシアでの資料収集出張を、半年遅れたものの計画通りの内容で実施することができた。また、成果発表についても、概ね計画どおりのペースで行うことができた。他方、当該年度末に予定していたアメリカでの資料収集出張は、諸般の事情から実施を約半年延期し、平成29年夏に行うことにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の国外出張については、平成29年夏の第1回出張(アメリカ)に続き、同年秋の第2回出張(モスクワ)を行うことにより、当初計画に沿う進捗を回復できる見込みである。それ以外の研究推進については、当初計画からの変更はない。
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Causes of Carryover |
当該年度末に予定していた資料収集出張(アメリカ)を、親族急病により次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該の国外出張を半年延期して平成29年夏に実施する。これ以外の次年度使用額は、当初計画どおりを予定している。
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