2017 Fiscal Year Research-status Report
パリ亡命ロシア文壇の言説空間に関する研究:「亡命文学」概念の生成現場として
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15K02421
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
三好 俊介 駒澤大学, 総合教育研究部, 准教授 (00311853)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ロシア文学 / ロシア詩 / 亡命文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて資料収集と分析に重点を置き、研究対象の中心である詩人ホダセヴィチの亡命下における文筆活動や、当時の文壇事情に関する多数の資料を収集した。ロシアと米国において集中的に収集活動を行い、ロシアにおいてはアクセスの難しい学位論文、米国においてはホダセヴィチ自筆のものを含む一次史料を入手したのが、本年度の収穫である。本年度は資料収集が予定を大きく上回る進展をみた一方、成果発表は行っていない。現在、収集資料を鋭意分析中であり、次年度にその成果をまとめて発表する予定である。本年度の活動の詳細は下記のとおりである。 1.「ロシア国立図書館」に資料収集出張(モスクワ市、平成29年8月15日~23日):亡命ロシア文壇の構造や人間関係を扱うロシアの最新の学位論文を多数入手し、ソ連崩壊ののち進展の著しいロシア本国における亡命ロシア文学研究の状況を把握するとともに、亡命ロシア文壇に関する様々な知識を得ることができた。 2.コロンビア大学付属「稀覯書手稿図書館」に資料収集出張(ニューヨーク市、平成29年9月2日~11日):亡命ロシア文学に関する世界有数のアーカイヴである同図書館蔵「バフメーチェフ・アーカイヴ」を利用し、その一部をなす「カルポヴィチ文書」(ニーナ・ベルベロワ旧蔵のホダセヴィチの遺稿や遺品多数を含む)を中心に集中的な調査を行い、必要な資料を筆者あるいは写真撮影した。 なお、当該年度にはこのほか、フランス国立図書館(パリ市)における資料収集(平成30年3月22日~31日)も行っているが、年度末のため形式上は次年度予算からの支弁扱いとなるため、上記には含めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度まではやや遅れていた資料収集出張について、ほぼ計画通りのスケジュールに戻すことができ、収集できた資料も質・量ともに予定を上回る。一方、成果発表は予定よりやや遅れ、次年度に多くを持ち越すこととなった。総合的には、概ね順調な進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はない。次年度予算を充てる資料収集出張は、フランス国立図書館(上記のとおり本年度末に既に実施済み)と、米国イェール大学ヴァイネキ稀覯書手稿図書館であり、夏季に予定する米国出張によって資料収集は計画通り完遂されることになる。あわせて、成果発表を鋭意行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、当該年度の年度末(3月22日~31日)に実施したパリ出張の所要額であり、実際にはすでに執行を終えている(研究代表者への経費支払いが次年度となったため、形式的に「次年度使用額」となっている)。
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