2015 Fiscal Year Research-status Report
スイスの疾風怒濤と美学的共和主義に関する総合的研究
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15K02423
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
今村 武 東京理科大学, 理工学部, 教授 (60385531)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シュトゥルム・ウント・ドラング / ドイツ語圏スイス / 18世紀 / 美学的共和主義 / 啓蒙思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究内容と目的 本研究計画の進捗状況をチェックする目的と、成果を研究書籍として公開するために研究成果の詳細な章立ての作業(目次)を前期に行い、後半はスイス、ドイツなどにおける資料調査と論文執筆、さらにその成果を生かしての学会発表、論文投稿などを最終期の活動内容として掲げてある。この研究内容に沿う形で、今年度の前半には詳細な目次を作成し、さらに出版社との前交渉も行った。幾つかの出版社が興味を示してくれたことは、本研究計画の成果を公表する上で明るい見通し材料を提供してくれたと思われる。また夏季休暇を利用してドイツのレーゲンスブルク大学に滞在し、トメク教授との研究打ち合わせ及び今後の研究遂行についての話し合いを持った。また論文への直接的な助言も得ることができた。後半は、論文執筆を行い投稿した。必要となる資料を精査して、その入手にも努めた。とりわけ関連するシンポジウム報告その他の収集にはこれからも意を用いたい。
研究の意義と成果 本研究計画の意義は、最終的にはドイツ語圏スイス文学の持つ全ヨーロッパに波及する起爆力、すなわち文学的美学的共和主義、スイスのシュトゥルム・ウント・ドラングを解明することにある。今年度は、本研究計画の全体像をさらに確固たるものにすること、すなわち研究の全体像の明確化に努めた。それにはしかし、従来の研究が指摘してきたドイツとスイスとの関連を個々に再評価する必要がある。今年度は、近代最初期のスイス・チューリヒにおける文学的美学的改革活動の萌芽と、ドイツの啓蒙文学との関連性を改めて評価する作業に着手した。この成果は、来年度前半の学会活動その他において発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画との関連 本研究計画の当初の実施計画に照らして判断すれば、列挙してある実施項目(研究書籍の詳細目次の作成、ドイツにおける資料調査と論文執筆、及びドイツの研究者との共同、)はほぼ全て消化しているため、「おおむね順調に進展している」との区分に該当すると判断した。成果の学会発表のみは、学会の発表申し込みの時期の関係上、次年度前期に持ち越しとなった。しかし論文の投稿は行い、3月末の時点で発行されている。以上の理由から判断した。
予期せぬ事態の発生 該当なし。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進 本研究計画は、新年度も当初の実施計画に基づいて遂行される。すなわち、前年度の研究成果の検証と詳細目次のブラッシュアップを継続し、継続的なPDCFAサイクルの遂行に努める。夏季のまとまった期間を利用して、ドイツ可能であればスイスでの現地資料調査と研究滞在を通じて、研究そのものの進捗を図る。またドイツのレーゲンスブルク大学からの協力も一段と強力なものになり、図書館その他へのアクセスがさらに容易になった。年度の後半は、成果の公表と深化に注力することとして、論文執筆及び学会発表の機会を逃さないよう留意する。また2月あるいは3月のドイツ語圏スイスの研究滞在の可能性も探りたい。
新たな課題への対応 新たな研究進捗のための方策として2月あるいは3月でのスイス研究滞在の可能性も視野に入れて、現地の研究者との交流を図ること。
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Causes of Carryover |
ドイツ語圏の研究者との連携が予想以上の成果を上げ、より緊密な連携のもとで本研究計画を遂行させることが可能と判明し、ドイツおよびスイスの大学での研究滞在をより長期間ないしは複数回行うため。共同研究遂行のための研究滞在により、資料を直接閲覧できる環境を作ることで、資料収集費用を当初の計画よりも削減した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドイツおよびドイツ語圏スイスの研究者とのより一層緊密な連携のもと、本研究計画を遂行する。そのため、ドイツ・レーゲンスブルク大学およびスイス・チューリヒ大学(予定)での研究滞在を当初計画よりも長期間ないしは複数回行うこととする。
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