2018 Fiscal Year Research-status Report
スイスの疾風怒濤と美学的共和主義に関する総合的研究
Project/Area Number |
15K02423
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
今村 武 東京理科大学, 理工学部教養, 教授 (60385531)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | スイス文学 / 18世紀チューリヒ / 美学的共和主義 / シュトゥルム・ウント・ドラング / スイスの疾風怒濤 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)当該年度の計画実施計画に則り、1760年代から1770年代までのスイスのシュトゥルム・ウント・ドラングを「啓蒙のネットワーク」「スイスの疾風怒濤」「美学的共和主義」の三領域から研究を継続推進した。さらに本研究計画の成果をまとめた研究書に関して10章からなる目次を作成し、一貫性のある研究成果としてまとめる作業に着手した。とりわけドイツのシュトゥルム・ウント・ドラングの先駆者であり、啓蒙的な文学の道を切り開いた詩人・作家であるクロプシュトックとヴィーラントの両者のスイス文壇との深い関わりと、スイスの共和主義的運動との関連は、なお一層の注意が払われるべき分野であり、今後とも学会発表や論考その他において継続的な研究成果の報告が必要な分野であることを強調しておきたい。 (2)ドイツにおいてほぼ一ヶ月間を用いて広範な資料調査を行い、研究対象となるスイス18世紀文学の美学的共和主義に関する多くの資料を収集した。スイス18世紀文学は、文学のみならず、美学、美術、教育学、歴史学、さらに広範な学術研究者と結びついており、総合的かつ包括的なアプローチが必要であることが第1次資料からも判明した。加えてドイツの研究協力者との研究打ち合わせを重ね、研究遂行、現在の最新の研究動向、研究書執筆に関して多くの有益な情報と示唆を得た。 (3)国内での学会発表を行うとともに、研究成果をドイツ語の論考として発表した。また小規模の研究集会等においても積極的に研究成果を公開し、研究遂行のための里程標として活用した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)五カ年に渡る研究計画に沿って研究を遂行している。研究に協力的な複数の国内外の研究者からのアドバイス、さらにPDCFAサイクルの検証を行い研究計画を遂行している。現在までの進捗状況に関しては、研究発表と論文発表の件数から客観的に判断できる。 (2)ただし、研究計画の第二段階に当たる昨年度の今年度のテーマ「ドイツの詩人のスイス滞在/旅行」「ヴィーラントとシェイクスピア」「文明批判と啓蒙文学のモティーフ」の内容が予想以上に奥深く、また論考にまとめるには時間を要することから、「おおむね」順調であると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)来年度は研究計画最終年度であるため、本研究計画の成果をまとめた研究書の執筆に意を用いる。原稿執筆は日本語で行うことになるが、ドイツ語圏においても出版を目指し、ドイツ語版の作成も開始することとする。 (2)来年度の研究テーマは、今後の発展性が大きい領域と判断できるため、研究対象の拡大と研究者のネットワークを作り上げることに留意しつつ、研究計画を遂行する。 (3)本研究計画を遂行する途中で発見されたいくつかの新研究領域に関して、本研究計画の一つの成果として発展的・萌芽的な報告をする必要がある。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額の生じた理由については、ドイツ語論文の校閲費用が発生しなかったこと、さらにドイツ研究滞在中に多くの書籍を直接手にすることができたため、日本で購入する資料が少なくなったためである。また次年度に国際学会にて研究発表を予定しているため、出張旅費に余裕を持たせる必要が生じたため。
|
Research Products
(4 results)