2015 Fiscal Year Research-status Report
南宋文学における故郷・田園に関する研究―陸游・楊万里・劉克荘の詩を中心に―
Project/Area Number |
15K02437
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浅見 洋二 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70184158)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 南宋 / 故郷 / 田園 / 陸游 / 楊万里 / 劉克荘 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南宋期の文学に表現された故郷・田園および郷村社会のあり方について、陸游・楊万里・劉克荘の詩を中心に考察し、その文学史的および地域社会史的・思想史的特質を明らかにするものであり、主に次の四項目からなる研究を行う。すなわち(1)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された故郷・田園と陶淵明詩のそれとの比較。(2)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された老人・子供に関する研究。(3)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された郷村社会のあり方に関する研究。(4)陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された「郷紳」意識に関する研究。 本年度は、全体の基礎となる研究、上記四項のうち(1)(2)に重点を置いて研究を進め、合わせていくつかの萌芽的な課題にも着手した。まずは最も基礎的な作業として、陸游・楊万里・劉克荘の詩に表現された故郷・田園イメージに関連する表現について、陶淵明のそれと関連づける形で分類・整理した。また、老人・子供イメージに関する表現についても同様の作業を行った。 これらの成果については、論文「楊万里と『詩債』」として公刊したほか、2015年8月29日、西安にて開催された和漢比較文学学会における講演「日本漢詩史における『唐』と『宋』」、および9月17日、上海復旦大学における講演「中国詩における子供と幼年期―陶淵明から陸游・楊万里へ」等の形で口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陸游・楊万里の詩に表現された故郷・田園および老人・子供について、陶淵明を視野に入れつつ考察した成果を講演の形で発表することができた。これについては、近く中国の学術雑誌に公刊する予定である。以上によって「おおむね順調に進展している」と判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画にそって、順次発展的な研究課題にも着手する。萌芽的な課題として、日本漢詩との比較にも力点を置く。後者については、すでに講演の形で成果を発表しているが、これをいっそう深化させたい。
|
Research Products
(3 results)