2016 Fiscal Year Research-status Report
20世紀前半の日中における小品文形成に関する比較研究-文学・教育・出版を視座に
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15K02443
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
鳥谷 まゆみ 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (00580507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 小品文 / 周作人 / 散文 / 美文 / 写生文 / ジャンル / 文学形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
北京へ1回、関西へ2回出張し、国際ワークショップで発表することができた。「越境」や「文学形式」を視座に、日中及び東アジアにおける文学や思想の形成について、国内外の若手研究者とともに議論を深めることができた。当該地域における近代文学の越境性は、同時代に生きた人々の生活様式や思想、文学、それらの伝播を考察するにあたって重要な示唆を与えてくれる。これは本研究の主要テーマである小品文という散文ジャンルについても当てはめることができる。次年度の研究にいかしたい。 2016年度に発表した論文は2件、書評は1件、評論は1件である。詳細は次の通り。「方紀生のこと:『周作人先生のこと』編集と日中文化交流に捧げたその生涯」(中国文芸研究会『野草』98号)、「越境的小品文」(『漢語言文学研究』4期)、「鄭恵著「周作人の初期児童研究に見いだされる日本の影響」(中国文芸研究会『野草』98号)、「特集にあたって」(中国文芸研究会『野草』<周作人特集>98号)。 口頭発表は計3件実施した。詳細は次の通り。国外:「越境的小品文」(北京大学国際学術ワークショップ、中国北京市、2016年6月)/国内:「周作人美文再攷:日本美文、写生文へのまなざしから」(神戸市立外国語大学国際学術ワークショップ、大阪府大阪市、2016年12月)、「少女から母へ:「傷逝」を女性の視点から読む」(中国語圏地域人文学研究会、京都府京都市、2017年3月)。 上記の発表内容を通じて、本研究課題である日中両国における小品文の時代的特色と交流の実態の諸相が明らかになりつつある。2016年度に実施した研究の副産物として、小品文作家の周作人と縁深い魯迅や方紀生についても、研究成果を残すことができた。研究計画作成当初は想定していなかったテーマであるが、今後も継続して研究を実施したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、国内外における国際学術ワークショップでの口頭発表を経て、従来、明らかではなかった夏べん尊における日本小品文との関わりについて論文にまとめ、中国で出版した。さらに、小品文研究の一環として、周作人における日本美文、写生文の受容についても研究を実施するに至った。当該内容は、今後論文集として刊行される予定である。 2015年度より実施している連続国際ワークショップは、昨年度北京大学で実施予定分が2016年度にずれ込んだため、その後の関西でのワークショップ開催が12月に変更になった。香港、武漢でのワークショップは次年度に開催する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年6月に香港教育大学での国際ワークショップに参加して口頭発表を行うとともに、論文を執筆する。また、2017年9月には武漢大学での国際ワークショップにも参加し、同様に口頭発表と論文執筆を行うことが決定している。 二つの国際ワークショップへの参加を通じて、日中小品文の形成について、幅広い視野から議論を行いたい。これにより、中国語圏において小品文が如何に変容し、また定着していったのか、地域を拡大して研究を展開してゆきたいと考えている。 同時に国外の研究者との共同研究基盤を構築したいと考えている。今後も張麗華(北京大学)、津守陽(神戸市立外国語大学)、裴亮(武漢大学)と連携して、継続して国際ワークショップを開催する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた3月の香港での国際ワークショップ開催が、次年度6月に変更になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
香港での国際ワークショップ参加のための旅費、および論文執筆のための物品費として主に使用する計画である。また、次年度は海外での論文等発表のため、翻訳代金として謝金を支払う予定である。
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Research Products
(11 results)