2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02456
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北村 卓 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (70161495)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ボードレール / ボードレール受容 / 比較文学 / フランス文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、ボードレールの受容が始まる明治期の日本におけるフランス文学・芸術・文化の受容、日仏文化交流に関する文献についての調査・研究、および異文化受容一般に関する資料を中心に調査・研究を行った。 平成27年4月18日、日本比較文学会関西支部研究例会において、「日本におけるボードレール受容のパースペクティブ」のタイトルで発表を行った。本発表の内容は、大阪大学言語文化研究科「言語文化共同プロジェクト2014」『表象と文Ⅻ』に掲載された。 平成27年7月10日に成城大学のグローカル研究所に招かれ、「グローカル現象としてのボードレール受容―文学からマンガまで」と題し、講演を行った。本講演の内容は本研究所の報告書に掲載される予定で、現在印刷中である。 平成27年11月5日~6日には、アメリカ、テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学のボードレール研究センターで開催された国際シンポジウム“Baudelaire in Japan”に招待され、“Perspective on Baudelaire’s Reception in Japan from the Meiji Era to the Present”というタイトルで発表(英語)を行い、諸外国、とりわけアメリカの研究者と意見交換を行った。その成果は間もなくヴァンダービルト大学のホームページに論文として掲載される予定である。 さらに平成28年2月13日~14日、富山大学で開催された国際シンポジウム「ラフカディオ・ハーン研究における新たな視点」に招待され、「ボードレール・ハーン・谷崎―理想の女性をめぐって」と題して発表を行った。その成果は現在印刷中である。またその折に、ハーンの蔵書を収めた「へるん文庫」の調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年4月、日本比較文学会関西支部研究例会において発表した際には、参加した比較文学者から本研究テーマに関する様々な情報が寄せられた。 平成27年7月、成城大学のグローカル研究所に招かれて行った講演では、日本におけるボードレール受容をグローカリゼーションの観点から捉え直す視点を考える機会を得た。今後の研究の発展に大いに寄与するものと期待される。 平成27年11月、アメリカ、ヴァンダービルト大学のボードレール研究センターで開催された国際シンポジウムにおいては、内外の専門家と本研究のテーマに関して活発な意見交換を行い、貴重な示唆を得ることができた。 平成28年2月、富山大学で開催された国際シンポジウム「ラフカディオ・ハーン研究における新たな視点」において行った発表では、明治から大正期にかけてのボードレール受容において、ハーンが大きな役割を果たした可能性があるという、従来見逃されてきた着眼点を獲得することができた。 以上より、当初の計画を上回る成果を得られたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得た成果を踏まえながら、研究対象を大正期から戦前昭和期、さらには、第二次大戦後から現代にいたるまでの文学や文化におけるボードレール受容についても、幅広い調査を行いながら、考察を深めていく。 その一環として、日本におけるフランス文化、フランスイメージの受容に重要な役割を果たしてきた宝塚歌劇について、それを一つのメディア装置と捉える視点から、本年6月20日、上智大学が主催する「舞台芸術の世界」と題した連続講義の一つを担当する。 また、富山大学の「へるん文庫」を富山大学の中島淑惠教授や内外のハーン研究者とともに引き続き調査を行い、日本におけるフランス文学紹介者としてもラフカディオ・ハーン像を解き明かすとともに、本研究のテーマであるボードレール受容におけるハーンの役割についても、さらに明確に捉えていきたい。
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Causes of Carryover |
平成27年11月のアメリカ出張において予想された費用のうち、滞在費については主催地アメリカのヴァンダービルト大学が負担した。また平成28年2月に開催された富山大学の国際シンポジウムへの出張の際には、旅費、滞在費がともに富山大学によって支払われた。そのため当初の予想より支出が少なくなり、次年度へと繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
内外の資料調査をより活発に行うための旅費および調査費に充てる。
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Research Products
(8 results)