2016 Fiscal Year Research-status Report
自然談話構造理解のための、音声情報に基づいた談話標識の研究
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15K02468
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
甲田 直美 東北大学, 文学研究科, 准教授 (40303763)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自然談話 / 音声特徴 / 音響 / 会話構造 / 接続詞 / 談話標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然談話、特に相互作用のある自然談話における音声情報に基づいた談話標識の機能の解明を行おうとするものである。当該年度においては、接続詞の機能と音声情報との関連を扱った。接続詞「で」「でも」は、会話内に頻繁に生じるが、実質的意味内容が希薄な例が散見する。特に、接続詞の「で」はこれまでの研究から、フィラーのように単に間合いをとっているかのように思われる例が非常に多い。この一方で、話題の進行として本筋に戻る例も見られ、用法に幅がある。また従来の研究から「で」の用法の広がりが指摘されている。これらの用法と音声情報とは何らかの対応が見られるか検討した。談話標識は、情報としての伝達内容にさほど影響がないかのように見られてきたが、会話構造と音声情報との関わりを探った。この成果として、「日本語接続詞の音響分析の可能性:その予備的考察~「で」の音響特徴から~」と題して、近畿音声言語研究会 2016年8月6日 於・関西学院大学にて発表を行った。接続詞全般についての機能と接続詞「で」の音響特徴との関連を扱った。「で」「それで」について、Acoustic features of Japanese connectives “de”, “sorede” in talk-in-interaction, International Conference of Japanese Language Education (ICJLE)2016, Bali, Nusa-Dua 2016年9月10日として発表を行った。さらに、会話構造上の位置情報と接続詞、そして音響情報との関連を扱い、Position-sensitive analysis of Japanese connective “demo” in talk-in-interaction,International Conference of Japanese Language Education (ICJLE)2016として発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語の接続詞を音声面から分析するという課題設定に対し、実際に音声特徴と機能との関わりに迫ることができ、海外で研究成果を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、談話標識の多様な音声バリエーションと意味機能との相関の研究を進める。音声バリエーションを見るために、日本各地の談話標識・接続表現の音声データを収集し、機能との関連を考察する。
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Causes of Carryover |
日本語音声バリエーションの事例について収集およびデータ処理について当初見込んでいた費用より少なかった。研究打ち合わせが勤務先の大学で済み、国際学会がアジアであったため、旅費がかからなかった。このため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は国際学会をヨーロッパで予定しており、旅費がかさむため、全体としての課題遂行と予算執行は問題が無い。
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