2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02480
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
立石 志乃扶 (水口志乃扶) 神戸大学, その他の研究科, 教授 (00157489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Pinter Gabor 神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30580691) [Withdrawn]
立石 浩一 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (70291789)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英語の音調 / 音調核の知覚 / プロソディ / 対照的焦点 / 自然発話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、来年度のfMRI実験に向けて、実験素材の行動実験と、デザインの作成を行った。実験素材としては、英語の音調核の知覚実験を行う予定である。音調核には広い焦点と狭い焦点があるが、広い焦点の音調核知覚に関してはこれまでの実験でかなりの知見を蓄積している。本年度は狭い焦点の知覚実験を実施し、日本語を母語とする被験者を使って、母語である日本語と、学習言語である英語の狭い焦点の知覚実験を行った。実験前の予測としては、母語の方が学習言語よりも狭い焦点の知覚が容易であると考えていたが、実験結果はこの予測と反し、母語である日本語よりも学習言語である英語の音調核をより正確に知覚できる、というものであった。さらにオランダ語が母語である日本語上級学習者に同一の知覚実験を行ったところ、日本語母語話者と同じ傾向であることが判明した。この結果は、母語、学習言語を問わず、狭い焦点を音声的に顕現する言語としない言語があるということを示唆するものである。実験前には、予測していたが、るものであった。 研究成果は、'Natural language perception by L1 and L2 speakers of English'として国際会議で発表した。英語の自然発話における広い焦点の知覚が、母語話者と学習者では精度は異なるが、知覚プロセスは同一であるという主張である。この研究は広い焦点の音調核知覚についてのものであり、本年度行った狭い焦点の音調核知覚とは一見相反するものである。来年度は自然発話における音調核知覚の本質をfMRI実験によってとらえることが主眼となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は、来年度のfMRI実験のためのデザインと実験素材を考察することであった。デザインは何度も研究者間で話し合い、方向性が固まってきた段階といえる。実験素材については、行動データを蓄積するために、すでに実施した自然発話の音調核知覚実験に加えて、新たに対照的焦点の知覚実験を行った。言語は母語、学習言語、被験者は母語話者と学習者であり、すでに蓄積していたデータからは予測できない興味深い結果がでた。今後はさらに異なるデザインに基づいて知覚実験を繰り返すことによって、今までは分からなかった人間の知覚能力の解明に近づくと確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)さまざまな英語(自然発話、読み上げ文、対照的文脈など)における音調核の知覚実験を行い、fMRI実験のための行動データを蓄積する。 (2)fMRI実験のデザインを完成する。 (3)fMRI実験を実施する。 (4)データを解析する。 (5)研究成果を学会で発表する。
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Causes of Carryover |
国際会議に出席するための旅費に端数がでたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の実験費用に組み込む予定である。
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