2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02483
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
小野 浩司 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (80177261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 母音融合 / ソノリティー / 九州北部方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度(初年度)における本研究の目的は、日本語の母音融合を理論的に解明することであった。具体的には窪園(1999)で提案された母音融合規則で果たしてすべての母音融合が説明できるのかどうかを検討することであった。結果として、窪園(1999)には例外が多く存在することがわかった。とくにその規則の過剰生成が問題であることを解明した。これは今後の大分方言を含む北部九州の母音融合の解明にも大いに役立つと思われる。この ただし、これで今年度の目標をすべて達成したというわけではない。窪園(1999)の説明に問題があったということはわかったが、例外となった例も包含するような一般的な原理・法則を見出さなければならない。現在この点の研究を進めているところであり、かりに何らかの法則が見つかれば、それを用いて方言が示す母音融合の説明にも応用できると考える。 本年度は母音融合に関して新たな試みも行ってきた。これまで母音融合を単に二つの母音の結合と考え、その結合様式のみに注目してきたが、母音そのものの性質にはあまり関心んがなかった。今年度は母音の特性としてのソノリティー(共鳴性)に注目し、母音融合の発生過程をソノリティーの観点から考察してみた。その結果、ソノリティーの高い母音+ソノリティーの低い母音に多く融合がなされることを発見した。これに関して小野(2015)(於秋田大学)の発表においてその試案がなされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
母音融合の理論的解明については、まだ解明すべき点が残されており、当初の計画と比べれば若干遅い進捗状況と言える。しかし、次年度には今年度の遅延を挽回し、当初の目的を達成できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度(次年度)においては、まず、ソノリティーと母音融合の関係をさらに詳しく調査し、果たして密接な関係があるのかどうかを解明してゆきたい。結果がでればそれを学術論文等で発表するようにする。また、その結果を踏まえて、方言の研究へと徐々に進んで行きたい。
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Causes of Carryover |
物品を購入した際、どうしても切の良い額にならなかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は1,664円という少額であるので、次年度の使用計画は当初の計画どおりにしたい。
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