2016 Fiscal Year Research-status Report
発話中のポーズと呼吸・嚥下の関係の音響的・生理的解析
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15K02485
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
垣田 邦子 富山県立大学, 工学部, 名誉教授 (10148827)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポーズ / 吸気 / 嚥下 / 読み上げ発話 / 自発発話 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、発話中のポーズ挿入に、呼吸や嚥下という生理的要因がどのように関与しているかを、音響的・生理的な解析を通して明らかにすることである。昨年度(初年度)は、データ収録・解析の諸準備に予定以上の時間を要したため、計画していたデータ収録および解析の一部を実施することができなかったが、2年目の本年度は、データ収録を完了し、解析を進めることができた。 データ収録は、学内公募に応募した学部生および院生を話者として実施した。3種類の発話スタイル(リストの読み上げ、短いパラグラフの読み上げ、自発発話)について、音声信号・嚥下の音響信号、および呼吸に伴う身体運動信号を同時に収録した上で、音声・嚥下音・呼吸のそれぞれの信号について解析を行った。その結果、(1)嚥下に関しては、ポーズ区間の中程で起こり、吸気が続き、その後で次の発話が始まるというパタンが多いこと、(2)呼吸に関しては、読み上げ発話の吸気は比較的規則的であるのに対して自発発話では規則性が低くなることや、嚥下の後の吸気は大きくなる傾向があること、などの基礎的な知見が得られた。また、(3)嚥下が含まれるポーズは、そうでないポーズに比べて1秒前後長く、パラグラフの読み上げにおいては、話の内容・構成に即した小分割(サブパラグラフ)の後に挿入されることが多いことも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データ収録は予定どおり実施でき、十分な発話データを得ることができたが、収録の準備(特に呼吸信号収録用センサーの調整)に時間を要したため、本年度に計画されていた解析の一部が次年度に繰り越された。
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Strategy for Future Research Activity |
「読み上げ発話」および「自発発話」のそれぞれについて詳細な解析を行う。音声に関しては、音声区間の時間長やポーズの時間長・挿入箇所など、嚥下に関しては、嚥下のタイミング、および音声・ポーズ・吸気との関係など、呼吸に関しては、吸気のタイミング、および音声・嚥下とポーズとの関係などについて相互に解析を行い、結果を発話の文法的・意味的な構造に照らして考察する。さらに、「読み上げ発話」および「自発発話」について得られた音声・呼吸・嚥下の解析結果を比較し、共通点と相違点を明らかにした後、ポーズ挿入に際して、言語的要因(文法および意味など)と生理的要因(呼吸および嚥下)がどのように統合的に制御されるのかについて、包括的な考察を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品購入のために、念のため残しておいたが、さしあたって購入の必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度未使用額は、次年度の消耗品費として支出する。
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