2017 Fiscal Year Annual Research Report
Toward a unified account of root phenomena: with focus on topicalization
Project/Area Number |
15K02488
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
那須 紀夫 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00347519)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 話題化 / 対人モダリティ / 主節現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究では、前年度までの研究結果を統合し、研究の目的に掲げた3つ目の課題である「主節指向性の強弱をもたらす要因の特定」に取り組んだ。 前年度までの研究では、様々なタイプの話題要素の生起環境(すなわち、話題要素が句構造上のどの階層に生起するのか、またどのようなタイプの従属節との親和性が高いのか)が特定され、話題要素の出現を認可・制限する文法的制約とその作用の仕方を明らかにした。それを踏まえて、平成29年度には、主節には話し手と聞き手の間の発話伝達様式を文法化する階層 SAP があり、主節指向性の高い話題要素がその階層に生起することを立証することを試みた。加えて、話題要素だけでなく丁寧語形式「ます」もまた強い主節指向性を持つことに着目し、同じく SAP が関与する認可システムによって分布を説明する可能性を探求した。この研究の成果を国際基督教大学で行われた国際ワークショップ(Workshop on Altaic Formal Linguistics)で発表した。 年度の後半では、弱い主節指向性を示す話題要素に目を向け、その分布を決定するメカニズムについて考察した。当初はこのタイプの話題要素の分布にも SAP が関与しているのではないかとの予測を立てていたが、検証の結果、主節指向性の低い話題要素の分布には認識的助動詞要素との呼応関係が強く影響していることが判明した。 研究の最終段階では、本研究のアプローチがカートグラフィー研究における句構造理論にどのような提案ができるかを検討した。その結果、日本語においては話題化に特化した階層を独自に立てる必要はなく、話題要素の分布は主として呼応(一致)という文法の他のメカニズムから導出可能なのではないかとの観察を得るに至った。
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