2015 Fiscal Year Research-status Report
フレーム意味論と構文文法に基づく日本語構文データベースの構築
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15K02490
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小原 京子 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00286650)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言語資源 / フレーム意味論 / 構文文法 / コーパス言語学 / 語彙意味論 / 認知言語学 / 日本語構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、現在研究代表者が構築中の言語資源「日本語フレームネット」を、語彙情報のみならず、構文情報をも含む語彙・構文複合言語資源へと発展させるため、日本語構文データベース(Constructicon)の雛形を構築することである。具体的には、文の意味に関与する、語彙素以外の文要素(構文)の記述を蓄積していく。その際、構文の統語構造の記述に構文文法、意味構造の記述にフレーム意味論の枠組みを用いている。語彙情報と構文情報の両方を含んだ語彙・構文複合言語資源としての「日本語フレームネット」を、フレーム意味論と構文文法の枠組みの具現化と位置づけて、特に構文の意味記述、「文法と語彙の連続性」保持の点において、両枠組みの精緻化に貢献することを目指している。研究期間内に、構文分析、用例へのアノテーション、データベース整備を行う。 2015年度は、構文アノテーションのための環境整備と位置づけた。言語分析では対象構文の選定を行い、それらの構文の意味情報を分析した。さらに、それらの意味情報をどのように日本語構文データベース(Constructicon)上に構文アノテーションとして記述するか、またその際に「フレームネット」上の既存のフレーム定義を用いることができるのかを検討した。その結果、日本語構文の中には、「フレームネット」上の意味フレームだけではなく、対話フレーム(interactional frames)を新たに定義しなければ、意味情報が記述できないものがあることが明らかになった。 システム関連では構文情報付与用のアノテーションツールの整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
言語分析関連では、当初の計画通り対照構文の選定と構文分析を始めたが、まだ完了はしていない。だが、日本語構文の意味情報を記述・アノテーションする方法については具体化することができた。さらに、日本語構文とフレームとの関連を分類することができた。 システム関連では、当初の計画通り構文情報付与用アノテーションツールの整備を開始することができたが、夏にサーバが攻撃されたこと、研究協力者(フランス・テレコムブルターニュ工科大学からのインターン大学院生)の帰国などにより、完成には至っていない。だが、サーバを再構築し、後任の研究協力者(オランダ・アムステルダム大学からの協定学生)に仕事を引き継ぐことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、構文アノテーション作業の開始にこぎつけられるようにする。言語分析関連では、まず引き続き対象構文の選定を行い、分析を行う。構文情報付与用アノテーションツールの整備が完了し次第、実際にそのツールを使って構文の統語アノテーションと意味アノテーションを行う。システム関連では、構文情報付与用アノテーションツール整備の完了を第一目的とする。 平成29年度は、構文データベースの雛形完成を目指す。言語分析関連では、構文アノテーション作業結果の見直しと成果発表を行う。システム関連では、データ公開形式を検討する。
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