2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02501
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中澤 信幸 山形大学, 人文学部, 准教授 (30413842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大鶴 東北文教大学短期大学部, 総合文化学科, 准教授 (20318728)
是澤 範三 京都精華大学, 人文学部, 准教授 (20554075)
岩城 裕之 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80390441)
酒井 亨 金沢学院大学, 経営情報学部, 准教授 (90645350)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 台湾 / 台湾語 / 多言語社会 / 言語史 / 言語政策 / 社会言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多言語が併存している台湾において、台湾語がどのように使われ、また変容してきたかを明らかにすることである。そのために、日本統治期の台湾語が現代の台湾でどの程度通じるか調査することによって、台湾語の変容を明らかにしていく。加えて、台湾における台湾語の政治的・社会的位置付け、また言語政策の影響についても調査し、現状を明らかにしていく。 所期の目的を達成するために、本年度はまず、日本統治期の台湾で警察官だった東方孝義により編纂された、『台日新辞書』(1931)の電子データ化を行った。具体的には、『台日新辞書』全987頁の見出し語となっている台湾語(片仮名)を、Microsoft Excelに入力することで、データベースを作成した。データ入力はアルバイトに依頼した。この電子データをもとに、見出し語をやはり日本統治期に編纂された『台日大辞典』(1931~32)等と対照しながら、体系的に検証することで、日本統治期の台湾語の語彙体系について分析しているところである。加えて、日本統治期の日本人による「台湾語観」についても、分析しているところである。 この考察をもとに、電子データから生活基礎語彙・教養語彙(200語程度)を抽出し、次年度に台湾語インフォーマントを対象にした調査で実際に用いる、日本統治期の台湾語語彙リストを作成しているところである。 上記に加えて、台湾に赴いて台湾の言語政策に関わる民進党の立法委員、大学教員等にインタビューを行った。具体的には、これまでの中華民国の言語政策、政権交代(国民党から民進党)後の言語政策の見通しについて話を聞いた。その結果、台湾の多言語化とその保護が、今後は政策レベルでさらに推進されるという見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
987頁に及ぶ『台日新辞書』の見出し語項目について、電子データ化を完了した。台湾語の語彙体系の分析、また生活基礎語彙・教養語彙の抽出は途中であるが、電子データを利用すれば比較的容易に実現可能である。 また台湾における言語政策の調査については、立法委員に実際にインタビューできるなど、当初計画を上回る成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、①『台日新辞書』の電子データについて、片仮名で記された台湾語をローマ字(台羅、白話字)に変換する等の整備を行う。その上で画像付きデータベースとしてwebで公開する。②日本統治期の台湾語の語彙体系と当時の日本人の「台湾語観」について、引き続き調査を続ける。③電子データをもとに日本統治期の台湾語語彙リストを完成させる。これを調査項目とし、それが現代の各世代の台湾語母語話者に、実際にどの程度通じるのか調査する。④各世代の台湾語母語話者を対象にアンケート・インタビューを行い、台湾における台湾語に関する政治的・社会的な状況、また中華民国による言語政策の変容が及ぼした影響について明らかにしていく。 平成29年度は、①前年度に引き続いて、日本統治期の台湾語語彙が、現代の台湾語母語話者にどの程度通じるのか調査する。これによって、日本統治期の台湾語の残存状況を明らかにしていく。②上記①の結果を前年度④の考察と照らし合わせることで、多言語併存状況下における台湾語の現状と変容を解明していく。③上記②の考察結果を日本及び台湾の学会等で発表し、論文として公表する。また考察結果は各種データとともにwebページで公開する。
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Causes of Carryover |
アルバイト謝金については、電子データ作成の作業が順調に進んだことと、所属研究機関の規定に合わせて支払ったために、予定よりも支払額が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電子データをさらに充実させるための人件費として使用することにする。
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Remarks |
今後、研究成果等をこのwebページに公開していく予定である。
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Research Products
(4 results)