2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Linguistics Study on the Development of the Morphological System of the Proto-Germanic Strong Verbs
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15K02520
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 俊也 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (80207117)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | strong verbs / preterite-present verbs / Osthoff's law / Verner's law / Proto-Germanic / verbal system / the PIE perfect / past participle |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の成果のひとつとして、田中(2019a)「ゲルマン語動詞体系における過去現在動詞と強変化動詞形成の相対年代をめぐって:オストホフの報告の観点から」『英語英文学論叢』(九州大学大学院言語文化研究院英語科)pp.23-35 がある。従来の比較言語学研究では、過去現在動詞IV, V類の現在複数形が語根においてゼロ階梯母音を示し、強変化動詞IV, V類の過去複数形が延長階梯語母音を示すことから、過去現在動詞の方が保守的である(つまり印欧祖語の完了形の形状をそのまま反映する)ということが主張されて来た。これに対して当該論考は、ゲルマン語派におけるオストホフの法則適用例を精密に考察すると、過去現在動詞の活用パターンが確立した時期は、強変化動詞の活用パターンが確立した時期より以前の時代である可能性が高いことを論じている。ゲルマン祖語の動詞体系が確立される過程で、過去現在動詞という範疇が確立された時期が強変化動詞という範疇が確立された時期より以前であるという相対年代が得られることを明らかにした。 もう1つの成果として、田中(2019b)"English uncouth 'rude, socially unacceptable'"(九州大学言語研究会 178回例会 口頭発表原稿)が挙げられる。英語の形容詞として残った uncouth に関して、3つの歴史言語学的な問題が挙げられることを論じたものである。そのうちの1つの問題として、ゲルマン祖語の過去現在動詞 *kann- 'know' の過去分詞 *kunth- は、ヴェルナーの法則による語根末摩擦音の有声化を経ることが期待されるが、それがないのはなぜかということがある。この問題に関して、Luehr (1984), Schaffner (2001), Hartharson (2017) などの論考には、再考の余地があることを論じた。
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Research Products
(2 results)