2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02524
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
船津 誠也 県立広島大学, 学術情報センター, 准教授 (30275383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 雅子 早稲田大学, 人間科学学術院, その他(招聘研究員) (30392541)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 母音添加 / wave / 摩擦音 / 舌先移動時間 / 日本語母語話者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、過去に行った実験により得られたデータの精査を行なった。具体的には、子音クラスタの第1子音が摩擦音の場合の舌先の調音運動を検証した。我々は現在まで舌先運動の規格化(normalization)のため第1子音を破裂音に限定し計測を行ってきた。今回摩擦音について検討したところ、すべての日本語母語話者において子音クラスタへの母音添加が生じないことが明らかになった。したがって、摩擦音の場合においては、母音添加の問題は生じず、それゆえ現実問題として摩擦音については規格化の必要性がないと考えられた。今まで我々が考案した規格化法において最大の問題は摩擦音の取り扱いであったが、この問題を取り扱う必要がなくなった。それゆえ今後は破裂音、破擦音、鼻音にしぼって規格化を実行すればよいと考えられた。 本年度に行ったのは、検査語“snat”における舌先の移動時間の精査である。日本語母語話者および英語母語話者に関し、舌先の移動時間を精査したところ両話者ともに破裂音/b/、/p/に比べて摩擦音/s/において移動時間が有意に長かった。これは子音の特性上当然のことである。/b/においては日本語母語話者と英語母語話者に有意差が見られたが、/s/においては日本語母語話者と英語母語話者には有意差は見られなかった。さらに日本語母語話者のスペクトログラムにおいて注意深く視察を行ったところ、/s/-/n/間に添加母音は観察されなかった。この結果から前述のように摩擦音においては規格化の必要性はなく、破裂音、破擦音、鼻音についてのみ規格化が必要と考えられた。以上より29年度は破裂音、破擦音を中心に計測および解析を行なう予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は子音クラスタを構成する子音の種類別に精査を行なった。前述のように子音種により子音クラスタ調音の難易度が変化することを見出し、調音が容易な子音に関しては実験から除外できることを明らかにした。これにより実験時間、実験数を少なくすることが可能になり、実験がより細かく行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、改良されたwave(同期エラーが解消された)を用い、被験者の口蓋および咬合面を精密に測定し、調音動作の精密測定を行なう予定である。
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Causes of Carryover |
改良型waveシステムが使用可能となったのは、2017年1月であった。年度末にバタバタ実験を行うより次年度初めにじっくりと行う方が効率的であると考え29年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に改良型waveシステムを使用した実験を行う。これにより予算をすべて使用する予定である。
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