2017 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical, theoretical study on verbalization in the reasoning process in Kyushu dialects
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15K02540
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 節子 (有田節子) 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (70263994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 正 福岡大学, 人文学部, 教授 (20264707)
岩田 美穂 就実大学, 人文科学部, 講師 (20734073)
前田 桂子 長崎大学, 教育学部, 准教授 (90259630)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 条件表現 / 九州方言 / ギ類 / 文法化 / 形式名詞 / 認識的条件文 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に引き続き、方言調査の結果と中央語の歴史的文献および地域文献の調査結果を付き合わせ、条件形式、モダリティ形式の地理的変異と歴史的変遷について分析した。最終年度ということもあり、これまでの研究成果の報告として、全国規模の学会である日本語学会で、「方言条件形式の多様性―九州方言を中心に―」というテーマでブース発表を行い研究成果を公開した。また、メンバーの個別の成果としては、代表者有田は『日本語条件文の諸相』という論文集を編集し、出版した。分担者江口は、ナラ条件文に形式名詞が付くかどうかという点が方言における断定辞(「ダ」相当の形式)の有無と相関しているという仮説を「準体形式・断定辞の機能と条件文」という論文にまとめて有田節子編の一篇とした。また、従属節研究の一環として「AとBと」という形式が選択のための候補になっている場合の統語構造についての考察を「選択候補句の統語論的性質」という論文にまとめた。分担者岩田は、条件表現形式としてのギ類の文法化について、中央語におけるギリの変化が時間副詞的に用いられる点とギ類の特徴が現代共通語における周辺的条件形式の「時は」に類似している点からギ類が時間関係を表す用法から条件形式化したことを考察し、日本語文法学会において発表した。また、近世末期佐賀方言資料を調査し、佐賀方言においてギ類が拡大した背景について考察し、論文「近世末期佐賀方言資料にみられる条件表現」にまとめた。分担者前田は、長崎方言の代表的な終助詞であるバイの成立について近世から現代までの資料を元に調査した結果、近世には語基バがあり、バイ、バナ、バノ、バンなどのバリエーションが形成されたこと、位相や待遇による使い分けがあったことが確認できた。また、長崎県北松浦郡小値賀町藪路木島の方言13000語のデータベースを作成し、方言集を出版した。
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Research Products
(10 results)