2015 Fiscal Year Research-status Report
モリソン『神天聖書』を中心とした漢訳聖書の系譜とその文体論的研究
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15K02542
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
内田 慶市 関西大学, 外国語学部, 教授 (60115293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 鳳 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 教授 (00388068)
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
奥村 佳代子 関西大学, 外国語学部, 教授 (10368194)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 漢訳英書 / 古新聖経 / 満漢合壁版 / 北堂版 / ローマ大学 / バチカン図書館 / 宣教師 / 官話 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は特に漢訳聖書の新しい発見があったものを中心に研究を進めてきた。このうち、ポアロの『古新聖経』の影印版が台湾から、活字版が中国から、それぞれ出版され、私たちの研究に大きな手助けとなっているが、これに加えて台湾中央研究院の李奭學博士から北堂版の古新聖経殘巻の提供を受け、研究代表者が以前に発見したサンクト・ペテルブルグ東方文献研究所所蔵の満漢合壁版との対照を行うことが出来た。その成果は『『古新聖経』満漢合壁版・北堂版ー影印與翻字』(游文舎、340ページ)という形で私家版として出版し、関係研究者に配布した。 研究会は東西学術研究所の言語接触班の研究例会に合わせる形で、平成28年1月23日に、上述の台湾中央研究院の李Shi學博士を招請し、漢訳聖書に関する講演会と、研究代表者と分担者が研究発表を行った。 なお、研究計画にある海外調査も平成27年9月13日から22日の期間にローマ大学、バチカン図書館を中心に行い、新しい資料の発掘を行った。バチカン図書館では幾つかのこれまで未発見の宣教師による官話資料を手にすることができ、今後の研究に役立つはずである。この他、本研究課題と密接に関連している漢訳聖書以外の域外漢語資料を利用した研究も着実に進行することができた。たとえば、カサナテンセ図書館蔵の宣教師による雍正帝の弾圧事件の供述書に関する研究代表者や分担者の研究は学界に対しても極めて大きな貢献をしていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の中心課題である『古新聖経』に関する基本的な調査、整理、分析は順調に進行している。また、関連する研究も着実に遂行できた。海外調査も含めて、当初予定していた基本的な調査作業はほぼ完了している。研究会も実施し、本研究は概ね順調に進展していると結論づけることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、2年目の平成28年度においては、研究代表者は(1)ポアロの『古新聖経』の文体的特徴を満漢版を元に明らかにする。(2)『古新聖経』とそれ以前のディアズ、バセとの継承関係を明らかにする。というこの2点をメインに進めていくつもりであるが、加えて、研究分担者によるモリソン漢訳聖書の位置づけや、江戸期における唐話資料の文体との比較等も同時に進めて行く予定である。 なお、漢訳聖書以外の域外資料も取り扱い、研究に幅を持たせることは言うまでもないことである。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたパソコンとデジカメが適当な物品がなく、次年度の持ち越したことによる。また、書物も今年度はめぼしい古書等が出なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パソコン等の機材の購入と漢訳聖書関係の書籍の購入、また今年度も研究上の必要から海外出張(1回分)を計画している。
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