2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02548
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
松尾 歩 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (20593578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小椋 たみ子 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 教授 (60031720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 第一言語習得 / 語の心像度 / 名詞優位 / 日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙 / 動詞優位 / 語学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では第一に実験的方法で名詞と動詞の学習方法を探求し、第二に日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙のデータを使って語を獲得する時に作用する容易さについて研究した。
実験的方法では平成27年度中には12の保育園の100人の被験者から選好追視法を使用した新奇語の学習法のデータ収集に成功し、無事調査を終えた。内訳は、年少グループ(14ヶ月から21ヶ月)は57人分(男児28人;女児29人)が集まり、年長グループ(23ヶ月から31ヶ月)は43人(男児16人;女児27人)である。27年度後半はすべての子どもの目の動きを1フレーム(0.4秒ごと)にコード化する作業に費やした。その結果、数人の集中できなかった子どもを除いてほとんどの子どものコード化が終了している。今年度はそのコード化されたデータをMatlabで解析し、保護者からの日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の回答との相関関係などを詳しく調べ、また先行研究のアメリカの英語母語者の実験結果と比較する予定である。
第二の既存のデータを使って語学習について考察するプロジェクトでは、語学習に寄与する要因の1つである心像性について日本語マッカーサー乳幼児言語発達質問紙の標準化データの名詞語彙項目、動詞語彙項目の理解と表出の50%到達月齢と平均出現率(獲得指標)及び佐久間(2005)の心像性値から明らかにした。名詞の心像性が動詞よりも高いことは先行研究と一致していた。表出で名詞の獲得が動詞の獲得より容易であるとの仮説は、30ヶ月までは妥当であった。また、語彙理解では動詞の平均出現率が名詞よりも高かった。語彙表出では名詞心像性と獲得指標との低い相関があり、語彙理解では動詞心像性が獲得指標と高い相関があった。語彙理解の名詞、動詞と心像性との関係はいままで検討されてこなかったので興味深い結果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は保育園の協力を得る作業が難航し、進捗情報がやや遅れていたが、データ収集が終わるとコード化も一気に進めることができ、研究課題は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は数名の子どものコーディング及び統計分析を終え、学会及び論文で研究結果を発表していく予定である。次ページに示されているが、今年度は3つの学会に採択されている。また、第2プロジェクトではもうすでに3月にポスター発表を終えている。調査内容では、今回は言語発達に遅れのない標準児を被験者として調査を行ない、言語発達と語学習の関係について興味深い結果が得られたため、次回は言語発達に遅れの見られる子どもを対象に名詞と動詞の構築方法を研究したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コーディングを終了させるための研究補助のアルバイト料を計算して申請したのだが、被験者の数人がタスクに集中していないなどで、分析が年度内にできず、その分のコーディングを4月以降に先回しにしたため、研究補助のアルバイト料が使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月以降に数名残った被験者のコーディングを実施予定なので、その際に研究補助のアルバイト代として使用したい。
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Research Products
(11 results)