2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02551
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
今里 典子 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90259903)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本手話(JSL) / 動詞連続構造(SVC) / 移動構文 / 文法化 / 空間 / 一致 / 非一致 / 自他 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ手話を対象とした研究(Supalla 1990等)において移動構文の述部が連続動詞構造(SVC)を持つ事が指摘され,その後日本手話(JSL)においても複数の述語が並んでSVCを成し,そのうち後方の述語が文法化のプロセスを経て様々な統語要素を生む可能性がある事が議論されている(市田 2013,2015,今里 2007, 2010, 2012, 2015, 2016等).音声言語におけるSVC構造については多くの研究成果があるが,手話言語においては, SVCや文法化の過程について実際のデータに基づいた実証的研究の数はまだまだ多くなく成果が待たれる分野である. プロジェクト開始年である本年度には, JSLサイナー協力のもと, SVCの述部を含む表現を撮影したデータを整理し,まずはSVCに含まれうる動詞群のリストを作成した. JSL動詞の画像と,それに対応する日本語の単語の記述にとどまらず,意味毎に分類し,動詞分類(空間/一致/非一致), SVC形成時の語順傾向,文法化可能性などの統語情報を付して表形式にまとめた.公開自体は次年度の予定である. 次年度以降,このリストの動詞で構成されたSVCの語順,組み合わせ,文法化可能性等についてより詳細な分析を行うための基礎データを準備した事になる. 必ずしもJSLに堪能でなくても利用できるように,このリストには,画像と手の動きについての詳しい解説を加えたので,公開後は研究者やサイナーだけでなく,JSL学習者も利用することが可能になる.現在全国の自治体において手話言語法が相次いで成立していることから,今後多くの人々が,JSLという言語についての情報を必要とする事が予想される.本成果はこのような社会の要請に答えるための試みでもある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はサイナー協力のもと,JSLのSVCをなす手話データの撮影を行い,その述語動詞を意味に従って分類し,統語情報を付けて動詞リストの表を作成した.但し実際の公開については次年度に実施できる予定である. 一方撮影し分析していたSVCにおいて,動詞が連続して表現されてはいるものの,厳密な定義に照らし合わせると,いわゆるSVCとは認められない例も同時に一定数集められた.この様な例とSVCを比較し相違点を明らかにする必要がある.この点は当初研究計画に含んでいなかった分析なので,次年度以降の計画を少々見直し,こちらの分析にも時間を配分し,成果につなげるように対応する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定通り,すでに作成できた動詞リストの組み合わせの可能性から,様々な構文を含むデータをさらに撮影し,1)いくつの,2)どのような意味の動詞が,3)どのような組み合わせで,4)どのような順序や規則で並ぶのかをさらに詳細に分析し,5)構文の種類と文法化の関係を明らかにすべく分析する.同時に,当初の予定になかったSVCと認められない例文についても時間を配分し直し,追加でデータの撮影と分析を行い,SVCのデータと比較検討する.
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Research Products
(1 results)