2015 Fiscal Year Research-status Report
子どもの言語社会化:感情、社会的行為とアイデンティティ
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15K02567
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
バーデルスキー マシュー 大阪大学, 文学研究科, 教授 (80625020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言語社会化 / 子ども / アイデンティティ / 親子の会話 / 子ども同士の会話 / 会話分析 / 言語習得 / 感情表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は国内と国外で研究活動を行っている。国内の研究活動はこれまで日本人家庭や保育所という場面におけるエキスパートとノービスの相互行為に焦点を当て、言語社会化論に基づき、子どもが言語と共に社会的行為、規範、思いやり、道徳性、ポライトネス、アイデンティティ、感情などといった文化的要素をどのように習得していくことを明らかにしてきた。本研究の目的は、この研究成果と理論枠組みに立脚し、子どもの学習が成立する基盤となる社会的・文化的な構造を明らかにすることである。 プロジェクトの初年度となる平成27年度は,幼児を持つ家族2件の定期訪問(12回)によって得られた(1)ポライトネス、(2)アイデンティティ、(3)感情の習得に関する研究資料の解析を進めた。会話分析や言語社会化の専門的トレーニングを受けた大学院生を雇用し、トランスクリプト作成の作業をした。そして、収集したデータに関して、最初に分析を始める事例を選択し、研究メンバー各自が分析を進め、打ち合わせとデータを検討する機会を3回設け、互いに進捗状況を確認した。 国内では、平成27年7月にベルギーで開催される国際語用論学会で研究メンバーと他の研究者(スウェーデン語、日本語、英語、ツォツィル語)と合同で、本研究の代表者が主催したパネル発表に参加した。その際に、研究メンバーとパネル発表者と打ち合わせをし、データ検討会を行った。その検討会では本データについて、比較文化的な視点から議論した。 代表者はこれらの研究成果の一部を国内外のワークショップ、シンポジウムや学会で議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,研究資料の収集・解析を進めた。さらに研究代表者の本務校で3回に渡ってデータセッションを行い、分析の妥当性について検討を重ねた。本報告書にも記したように、研究の成果は国際学会、データ検討会等で発表し、様々な視点から議論した。研究成果は、学術雑誌の論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も引き続き、申請書に記した計画・方法に沿ってプロジェクトの運営を進める。特に、2月に海外から言語社会化の研究者(1名)を招聘し、研究メンバーと共に分析の中間成果の発表を兼ねたシンポジウムを開催する予定である。さらに、既存のデータを分析し、不足であれば必要に応じてデータ収集を行いたい。
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Research Products
(4 results)