福祉言語学史・福祉言語教育学史構築のための近代日本語点字資料の整備

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 15K02574
• Research Institution: Kokugakuin University
• Principal Investigator: 諸星 美智直 國學院大學, 文学部, 教授 (00220111)
• Project Period (FY): 2015-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: 点字資料 / むつぼしのひかり

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、福祉言語教育史のうち、資料保存の必要性と緊急度が高い明治・大正期の点字資料の整理・データーベース化を行い、福祉言語学・福祉言語教育史研究の基礎的資料を作成することを目的としている。ことに、点字資料を言語研究の資料として利用可能なデーターベースを作成することが主要な目的である。
これを実現するために、平成27年度に多くの歴史的な価値のある点字資料を所蔵する筑波大学付属視覚特別支援学校所蔵の点字雑誌『むつぼしのひかり』を調査対象として選定し、平成28年度にはその書誌および近代において歴史的仮名遣いが主流となる墨字とは異なる点字の仮名遣いを中心に言語資料としての特質を検討し、データーベース化のための撮影範囲の検討を行った。
これを踏まえて、平成29年度には点字資料の撮影可能な専門業者の選定を行い、『むつぼしのひかり』創刊号から240号のうち、欠号を除いて順番に撮影を進め、画像をデジタル撮影として等倍で印刷した際に点字の陰影を目視できる画質を有し、可能な限り撮影画像に資料のずれやゆがみが生じない品質の画像となるよう万全を期して高画素デジタルカメラによるフルカラーの撮影を開始し、併せて点字資料の作業補助者に依頼して厳重なチェックを行い鮮明な画像データを作成している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

近代の点字雑誌『むつぼしのひかり』のデーターベース化のためのデジタル撮影を行う業者の選定にあたって、点字資料撮影の経験・技術を有する業者が非常に希であったため選定に想定外に時間がかかった。選定後、点字の画像データであるため研究に資する品質が保障できるよう撮影仕様の検討に慎重を期して時間をかけたため研究が遅れ気味であるが、作業開始後は順調に進行しているが、予定の範囲の撮影、データーベース化の作業になお多少の時間を有する状況である。

Strategy for Future Research Activity

当初の研究計画通り、点字資料『むつぼしのひかり』の写真撮影が完了、および墨字との照合作業が終了次第、記憶媒体に保存の処置を行い、重要と思われる初期の巻号を画像データと点字の復刻を付した報告書の作成・刊行を速やかに行う。

Causes of Carryover

近代点字資料の撮影業者の選定・撮影仕様の検討に想定外の時間を要し、画像データの撮影開始が遅れたため、撮影と画像データの点字史研究資料としての品質のチェックの経費の支出、および報告書の作成・出版のための経費が次年度使用額として生じた。
このため翌年度分として請求した助成金を使用して、平成30年6月を期して予定範囲の点字資料の撮影を終了させ、直ちに当初の計画通り、資料価値の高い創刊号等の点字資料の画像と解題・研究編を付した研究報告書を速やかに作成・発行するよう計画している。