2016 Fiscal Year Research-status Report
『今昔物語集』を中心とするパラレルコーパス作成による平安語彙の層状構造の解明
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15K02578
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
田中 牧郎 明治大学, 国際日本学部, 専任教授 (90217076)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本語史 / コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、(1)『今昔物語集』と和文説話集のパラレルコーパス作成、及び『今昔物語集』と漢文説話集のパラレルコーパスの作成、(2)それらのコーパスを用いた語彙の層状構造の記述研究、の二つのことを重点的に行った。 (1)については、和文説話集に関しては、『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』の同文説話の大半について、パラレルコーパス作成を進め、『宇治拾遺物語』以外の和文説話集(『大和物語』『俊頼髄脳』など)の作業に着手する準備を行った。同じく、漢文説話集については、『今昔物語集』とその典拠である『日本霊異記』とのパラレルコーパス作成を進め、他の説話集についても作業に着手する準備を進めた。 (2)については、パラレルコーパスから、文体的対立関係にあると目される類義語を取り上げて、その文体的対立と意味的対立について考察を進めた。そのうち、「しるし」と「かひ」の対について平成28年5月に論文を公表し、「もろもろ」と「よろづ」の対について、平成29年3月に研究発表を行った。 (1)(2)の両側面からの研究によって、パラレルコーパスによって語彙の文体的対立の研究が精緻化でき、その対立が層状構造をなすことについて、明確な展望を持つことができた。また、語彙の文体的対立の根底には、意味的な対立があることについて、コーパスの多様な用例を分類することで、見通しを得ることができた。これらのことは、上述の論文や研究発表で述べたほか、平成28年6月に刊行された講座に収録した展望論文で、公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パラレルコーパス作成の研究と、それを用いた語彙の層状構造の記述の研究と、二つの側面での研究を進めることができた。前者は、計量的分析に耐える分量に達し、後者は、事例研究の成果を発表することができた。最終年度に、本格的な研究を展開させ、その成果を論文等にまとめる態勢が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
和文説話集とのパラレルコーパス作成は間もなく終了する見込みであり、漢文説話集とのパラレルコーパス作成について作業を本格化させ、平成29年度夏までに、コーパス作成をひとまず完了させる。平成29年夏以降は、これを用いた、計量分析による語彙の層状構造の全体的記述を進めるとともに、適切な事例を取り上げて、パラレルコーパス以外の資料も用いて、層状構造の細部を記述していく。その上で、全体的な記述と細部の記述を総合して、平安時代語彙の層状構造の研究をまとめていく。
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Causes of Carryover |
パラレルコーパス作成作業については、学生を作業補助者として進めたが、その補助者の事情によって、開始時期が遅れ、委託できた作業量が、当初見込みより下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度後半から、作業を多く委託できる作業者が見つかったため、平成29年度もその作業者に作業を委託して進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)