2015 Fiscal Year Research-status Report
北海道北見市常呂町居住者の方言と郷里方言との相関に関する社会言語学的研究
Project/Area Number |
15K02586
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
朝日 祥之 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 准教授 (50392543)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 方言接触 / 言語変異 / 移住 / 社会言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は本プロジェクトを本格化させるために必要な情報を収集した。具体的には次の4つのことを行った。 (1)北見市並びに常呂町の郷土史(岐阜県・高知県からの移住者)に関する情報を北見市立図書館等で収集した。同時に,双方の郷土史研究者にコンタクトを取り,市史(町史)では扱われていない情報提供を受けた。また,面接調査を実施するために,教育委員会との協力関係を構築した。 (2)郷里方言に関する情報,並びに現地の郷土史に関する情報を収集すべく,岐阜県(大野町)並びに高知県(佐川町)に出かけて行き,現地の図書館,県立図書館等で郷土史,並びに北海道移住に関する情報収集を行った。現地の方言を扱った研究を把握することができたが,北海道への移住に関する情報が当初想定したほど多くはなく,文献による情報把握に限界があることを把握できた。平成28年度,29年度に実施される調査で質問項目とすることにした。 (3)本プロジェクトでベースラインデータとなる調査資料(小野米一氏らが1979年に常呂町で実施した面接調査資料)のデータベース化を行った。特に録音資料について,データ全体のイメージを把握するために,調査資料のデジタル化並びに,録音目録の作成に当たった。 (4)これまで整備できた資料を使った考察を国際会議で発表した(American Society of Geolinguistics Conference, 2015年4月) 。その結果をProceedingsに掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はプロジェクト全体から見て初年度であることから,現地での調査を実施するために必要な情報収集を行うことに重点を置いた。面接調査を実施する上で把握しておくべき現地の情報を把握できた。これらの点では,当初の計画は順調に進展していると判断できる。その一方で,当初予定していた北見市での情報収集,ベースラインデータの整備は一定の規模進められたが,本年度内に計画していたものを全て終了させられなかったのは課題である。平成28年度の早い段階でその整備を終了させ,次の段階に進みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
面接調査の準備を行い,調査を実施するのが最大の目標である。録音資料の整備を継続的に行うとともに,学会での発表を行う。
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Causes of Carryover |
録音資料を整備するための補助業務者の当初計画していたより作業を行えなかったこと,また,勤務先で推進している研究プロジェクトの業務との関係で北見市における調査が十分に行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
録音資料に関しては,補助業務者を確保し,作業の効率化を図る。また,平成27年度に予定していた北見市での情報収集を今年度の早い時期に実施する。
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