2017 Fiscal Year Annual Research Report
A sociolinguistic study on the relationship between Tokoro Dialect and Their Home Dialect
Project/Area Number |
15K02586
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
朝日 祥之 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 准教授 (50392543)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 北海道方言 / 方言接触 / 西美濃方言 / 土佐方言 / 変異と変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題における研究は、(1)北海道北見市常呂町での聞き取り調査(2)常呂町居住者を対象とした既存の談話資料を活用した調査(3)岐阜県揖斐郡大野町における聞き取り調査(4)大野居住者を対象とした既存の談話資料を活用した調査である。これらの調査で得られる知見が北海道方言の中でどのように位置づけられるかを知るための調査を実施した。 このうち(1)並びに(2)で得られたデータから5つの項目(カ行・タ行子音の有声化,アスペクト,断定詞,連母音の融合,自発表現)について分析を試みた。基本的には,程度は異なるものの,西美濃方言の特徴を維持させつつも北海道方言的特徴を習得したケースが多いことが明らかとなった。岐阜地区の居住者の場合,アスペクトは西美濃方言の特徴が維持される傾向は強く,断定の助動詞の場合はその逆の傾向が強い。連母音の融合については,特定の連母音については維持と判断できるが,他の連母音についてはその特徴が消失したと考えた方がよい。それが現地の音声的特徴の習得とみなすのかどうかの見極めは必要である。なお、土佐地区の居住者の場合,土佐方言の特徴が維持され,北海道方言的に特徴が習得されることはほとんどないと判断できる。岐阜地区居住者と異なり,アスペクト・断定の助動詞など土佐地区の特徴が使用される傾向が強い。 また,出身方言の特徴になく,北海道方言的特徴であるカ行・タ行子音の有声化,自発表現について。前者は使用が見られないことから,西美濃方言・土佐方言の維持と見なしてもよい。自発表現は岐阜地区居住者の使用が認められた。
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