2016 Fiscal Year Research-status Report
ミニマリスト・プログラムのメカニズムの概念の分析:統合問題の概念的基盤の探求
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15K02587
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上田 雅信 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 特任教授 (30133797)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 因果性 / メカニズム / 生物学の哲学 / 行動生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、生物言語学のメカニズムの概念に因果性があるかどうかを科学史・科学哲学の観点から検討するのと並行して、生物言語学におけるメカニズムの概念と生物学の哲学および行動生物学におけるメカニズムの概念との比較を行った。まだ具体的な成果は出ていないが、科学史・科学哲学の展望の中に位置づけて、因果性という概念を軸として、生物言語学のメカニズムの概念と生物学の哲学や行動生物学におけるメカニズムの概念との比較を行うことを通して、生物言語学のメカニズムの概念の性質の明確化と生物言語学における統合問題の性質の明確化の作業を進めつつある。因果性の概念及びそのメカニズムとの関係についての哲学的議論が多岐にわたっているため、それを整理したうえで、その中に行動生物学や生物言語学のメカニズムの概念を位置づけ評価する作業も行いつつある。その結果、行動生物学での行動システムレベルの分析におけるメカニズムと因果性の概念が生物言語学のメカニズムと因果性の性質を明らかにするために重要な役割を果たす可能性があることが明らかになりつつある。また、上記の観点から、昨年度に引き続いて、因果性を含む言語のメカニズムの分析を経験的に行うことができる研究領域の探索も行い、その予備的な研究として格の言語変異に関する基礎的な研究も行った。これと関連して、因果性と生物言語学で論じられている第三要因との関係を明確にする試みも引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科学哲学や生物学の哲学における因果性とメカニズムの概念の分析と整理に予想以上に時間がかかり、生物言語学と行動生物学や古典的遺伝学など他の生物学の分野やその発展過程を比較、分析するのが遅れているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の課題の研究を並行して進め、特にメカニズムの因果性の観点から生物言語学のメカニズムと他の生物科学のメカニズムの比較と分析を進める。さらにこの比較・分析を通して、生物言語学における統合問題の性質を明らかにするという方法で研究を進める。
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Causes of Carryover |
資料整理のための謝金及び学会参加や学会発表の旅費を当初予定していたほど使用することができなかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は資料整理及び学会参加や学会発表などの旅費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)