2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K02591
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 明 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (70265487)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 計量単位語 / 日数表現 / 自然数 / most |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、計量単位語、自然数、さらに英語の量化子のmostとその日本語での対応表現の三つの領域において研究を進めた。 まず、計量単位語については、日数表現が準数詞扱いの「数」との組合せで「じつ」となり、全体としては「か/にち/じつ」の交替形を持つことから出発し、分類詞や計量単位語が数詞と結合する場合に大和言葉系統と漢語系統の表現の混在が厳密に禁じられることにを、フィルターとして処理することを提案した。この研究の副産物としては、例外的な音形をもつ漢語の数少ない例としてよく知られている「いち」、「しち」、「はち」、「にち」が、いずれも数詞ないし日数表現であることを確認したことが挙げられる。これらの成果は、Societas Linguistica Europeae 49という国際学会で発表した。 自然数と数詞との関係については、前の科研課題のときから論文としての発表が持ち越しになっていたが、これまで見落としていたヒルベルトの自然数理解をあらたな提案の中で位置づけることにも成功し、また、ここ一、二年における発達心理学での成果を批判的に取り込む形でまとめ、発表した。句構造形成の演算操作を任意の単一の語彙項目に繰り返し適用することで自然数列に対応可能な集合列を作り出すことができる、というチョムスキーの提案の微調整であるが、任意の単一の語彙項目の代わりに空集合を使えば、数詞の言語分析に関して、数学で現在採用されているフォン・ノイマンの集合論的定義と直接比較して甲乙を論じることができるということが、本研究課題に着手してからの重要な進展といえる。 量化子mostは、最上級のmostと関係があるというHackle 2009の提案があるが、日本語では対応する表現(「ほとんど」と「一番」)が別々なので、この言語間の違いをどう捉えるか、大学院のセミナーで検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定の比較級や最上級についての研究そのものは、やや後回しとなっているのが現状であるが、後者について、量化子からのアプローチにたどりついたのはあらたな展開といえる。前年度に行った、「だけ」がからむ量の程度に関係する表現の研究ともつながりができ、今後の展開に期待できる段階に到達した。また、日数表現など時の計量単位語の特殊性は、「二年目」などのように序数詞と関係していることからも注目していたが、本年度は和語と漢語の形態上の交替という別角度からその特殊性に迫ることができ、言語演算のさまざまな 側面との関連から程度表現の性格を解明していくことの重要性を確認することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
着手した量化子 most についての検討を引き続き行い、量の程度との関係を探るとともに、日本語の対応する表現も合わせて捉えることができる分析上の枠組みの構築を模索する。それにより、最上級やそれと関連する序数詞の性質の 解明につながるような糸口を探求する。また、英語の amount という名詞そのものについての論文がつい最近発表されているので、英語の many や日本語の「量」 や「だけ」との比較を通じて、関連する程度表現の全体像をあぶりだすことにも努める。
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Research Products
(3 results)