2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Theoretical Research on Syntactic and Semantic Determinants of Quantifier Scope in English and Japanese
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15K02593
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本間 伸輔 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40242391)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 数量詞 / 作用域 / 統語論 / 生成文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,英語と日本語におけるeveryoneや「すべての人」などの数量表現を含む名詞句(以下,数量詞句)の作用域特性を決定する要因について,生成統語論の観点から考察を行った。具体的には,数量詞句の内部構造,数量詞句の統語的移動,数量詞句の生起する節の構造が数量詞句の作用域の決定にどのように関わっているかという問いに答えるとともに,数量詞句の作用域の決定に関わる意味・談話的要因について検討した。 研究期間全体を通じては,数量詞句の統語的移動と作用域の特性について考察し,主語の右側への目的語の移動(短距離かき混ぜ)においては,ドイツ語やオランダ語と同様に,前提性という意味・談話的要因が作用域の決定に重要な働きをしていること,それが統語的な仕組みによって認可されることを明らかにすると共に,日本語における逆作用域(文中で後続する数量詞句が先行する数量詞句よりも広い作用域をとること)の可否を決定する統語的要因について検討した。とりわけ最終年度の平成29年度においては,日本語における主語-目的語の語順での逆作用域の可否が,主語の特定の統語素性の有無および統語的位置の違いによるという分析を行なった。 以上の研究においては,従来指摘されていなかった事実を発掘するとともに,作用域との関連性が指摘されていなかった統語的要因を明らかにしたという点で意義があるものと言える。 以上の研究は,文献・ジャーナルによる先行研究のサーベイおよび国内学会等での情報収集によって行なった。 研究成果は,Homma (2018)を始めとする計3編の研究論文で発表した。また,英語教育に応用する成果を共著書(1件)によって発表した他,中学校・高等学校の外国語(英語)の教員向けに講演を行なった。
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