2015 Fiscal Year Research-status Report
How did speakers regulate space and time? Pragmatic development of the spatio-temporal systems
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15K02595
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中安 美奈子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80217926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時空間体系 / 歴史語用論 / 歴史的発達 / 中英語 / 初期近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歴史語用論の観点から歴史的データにおける時空間体系を統合的に分析し、その歴史的な発展について検討する初めての試みである。時制や人称代名詞といった時空間の要素に着目し、言語行為等のミクロなレベルにとどまらず、談話等のマクロなレベルに踏み込んだ分析を行い、こういった時空間の要素が相互にどのように関連しているのか、談話においてどのように展開するのか、また、このような時空間の要素の関連が歴史的にどのように変化したのかについて検討している。 本年度は、これまでの研究との連続性という観点から、中英語の時空間に関する分析を行い、時空間体系の歴史的発達に関する分析のための基盤を形成することにつとめた。 まず、チョーサーをコーパスとして分析を行い、論文にまとめた。投稿した際に査読者や編集者に指摘された点、特に、ダイクシスの体系等のさまざまな要素を時空間体系に含める意義は何か、また、法助動詞の扱う意味・使用領域がなぜ時空間体系に属するのか、といった点は、本研究の基本理念にとって大変有益であり、詳細に検討を行い、論文に反映させた。また、パストン家書簡集、特にマーガレット・パストンの書簡をコーパスとして、量的及び質的な分析を行った。さらに、ペン・ヘルシンキコーパスを使用して、メタディスコースの量的及び質的な分析を行い、中英語から初期近代英語への変化を調査した。 今後については、これまでの研究結果を踏まえ、中英語の時空間体系の分析を精密化し、初期近代英語の時空間に関する分析を行い、時空間体系の歴史的発達に関する分析のための基盤の強化を図る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究との連続性、また、今後の分析の土台を形成するという観点から、当初は中英語の分析のみを行う予定であった。しかし、プロジェクトの早い時期に歴史的な発達を視野に入れた分析を始めた方が、より効率的に研究をすすめられると判断した。そのため、中英語から初期近代英語への発達を観察するための予備的な調査として、メタディスコースを取り上げて、その使用と歴史的な変化を分析した。一方、本年度に取り組む予定であった中英語の時空間体系の分析に関していえば、まだ十分に行っていない点がある。そのため、現在までの達成度としては、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度と平成29年度においては、次の点に重点をおいて研究をすすめていく計画である。 1 中英語の時空間体系の分析を精密化する。 2 初期近代英語の時空間体系に関する分析を行い、データベースを構築する。 3 中英語と初期近代英語の分析の結果から、時空間体系の歴史的な変化に関する知見を得る。 4 歴史語用論の方法論が進展していくことが予想されるため、常に最新の情報に注意を払い、本研究の方法論に取り入れる。 5 国際的に活躍している研究者から、研究を進めるうえでのレビューを得る。 6 本研究の成果を国際学会等で発表し、学会誌等に投稿する。
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Causes of Carryover |
研究上必要となる機能を有したコンピュータを選定中であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては、この未使用額と当該年度の請求額とを合わせて、コンピュータ一式と必要なソフトウェア等を購入し、また、学会出席のための旅費として使用することを計画している。
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