2016 Fiscal Year Research-status Report
How did speakers regulate space and time? Pragmatic development of the spatio-temporal systems
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15K02595
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中安 美奈子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80217926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 時空間体系 / 歴史語用論 / 歴史的発達 / 中英語 / 初期近代英語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、歴史語用論の観点から歴史的データにおける時空間体系を統合的に分析し、その歴史的な発展を分析する初めての試みである。時制や人称代名詞といった時空間の要素に着目し、言語行為等のミクロなレベルにとどまらず、談話等のマクロなレベルに踏み込んだ分析を行い、こういった時空間の要素が相互にどのように関連しているのか、談話においてどのように展開するのか、また、このような時空間の要素の関連が歴史的にどのように変化したのかについて検討している。 本年度は、昨年度の研究結果を踏まえ、中英語の時空間に関する分析を精密化し、また、初期近代英語の時空間に関する分析の基盤を形成することにつとめた。 まず、チョーサーをコーパスとして行った分析をまとめた論文をさらに修正した。また、パストン家書簡集のコーパスを拡張し、書き手のジェンダーや書き手と受け手の関係をファクターとして取り入れながら量的及び質的な分析を行い、その結果を論文にまとめた。さらに、ペン・ヘルシンキコーパスを使用して、メタディスコースの変化に関して量的及び質的な分析をした結果を出版した。これに加え、ラングランドのコーパス、シェイクスピアのコーパスを構築し、分析を行っているところである。 今後については、これまでの研究結果を踏まえ、中英語の時空間体系の分析をさらに精密化し、初期近代英語の時空間に関する分析を行い、時空間体系の歴史的発達に関する一定の成果を得る予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、研究実績の概要で述べたとおり、コーパスの構築・拡張やデータの分析を行うだけでなく、国際学会における発表や論文の執筆・投稿を積極的に行った。論文については、投稿から出版まで時間がかかるため、平成29年度以降に出版されるものもある。そのため、現在までの達成度としては、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、次の点に重点をおいて研究をすすめていく計画である。 1 中英語の時空間体系の分析をさらに精密化する。2 初期近代英語の時空間体系に関する分析を行う。3 中英語と初期近代英語の分析の結果から、時空間体系の歴史的な変化に関する知見を得る。4 歴史語用論の方法論が進展していくことが予想されるため、常に最新の情報に注意を払い、本研究の方法論に取り入れる。5 国際的に活躍している研究者から、研究を進めるうえでのレビューを得る。6 本研究の成果を国際学会等で発表し、学会誌等に投稿する。
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