2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K02596
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 江依子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30342033)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | フェイズ / EPP素性 / 情報構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画に基づき、文献を中心に旧情報、新情報、前提、背景など本研究の基本となる情報構造に関わる概念について調査し、用語の整理を行った。そこでは、本研究において、幅広い情報構造の概念を複合的に組み合わせる必要があることを結論づけた。この研究成果については、すでに、名古屋工業大学紀要にまとめた。またそれ以降の研究にも必要なため、さらにそれを修正したものを研究計画第二期の研究論文の第1章において提示した。 続いて、本年度第二期の研究計画に基づき、現代英語の移動現象を中心に検証し、情報構造とフェイズの関連性についての考察を行った。特に、従来のフェイズに関する問題点について文献に基づく検証を行い、フェイズの統語に基づく定義では問題があることについての結論を出した。 自らのデータ検証として名詞句における定・不定に基づく統語的振る舞いの違いを分析している。そこでは、新たにフェイズをEPP素性と関連させる必要性があることを発見した。これは、単にフェイズの特性を明らかにするだけでなく、極小主義理論の根幹をなす、素性について大きな貢献をもたらす発見になる可能性が高い。現在、DPを中心にその検証を行っており、その成果を発表できるように、日本英語学会での研究発表に向けて論文を作成している。同時に、その仮説の妥当性を強めるために、CP、PPなどの他のフェイズ領域での検証を始めているところである。 研究は文献を中心に行ったが、関連する学会等に参加し、関連する研究を行う研究者との意見交換も積極的に行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画においては、本年度は[1]情報構造に関わる用語の再確認と整理 [2]現代英語を対象とした移動現象の分析((1)DP, (2)CP, (3) PPおよびその他)を予定していた。現段階では[2]の(1)のDPの分析までが終了、(2)のCPへの検証へ移ったところである。
その理由として、DPの分析において、当初予定していなかった新たな発見があったため、その仮説の検証に時間がかかったため、すべてを終えることができなかった。しかし、ここでの発見は当初予定した研究計画以上の理論への貢献が認められるため、もう少し時間をかけて検証し、(2)(3)へも適用し、有意義な研究へと発展させたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果をもとに、CPおよびPP, VPからの移動を中心とした検証を行い、現代英語の移動現象から導きだされるフェイズ領域の特性について結論をだしていきたい。また、新たに発見したフェイズとEPP素性の関連性についても合わせて分析を行っていく予定である。 さらに並行して、第三期計画に基づき、現代日本語を対象とした移動現象の分析を行い、上記仮説の妥当性につちえ論じる。特に助詞「は」と情報構造についての考察や、かきまぜ操作を含む日本語研究でしばしば取り上げられている移動がかかわっている操作・構文を抜粋して検証を行う。この検証の中では、日本語母語話者へのアンケートを行いながら、あらたなデータを作成し理論貢献に臨みたい。
|
Causes of Carryover |
当初予定していたホームページの開設を業者に委託する予定であったが、簡易版を自分で作成するように変更したため、その分の費用が不要となった
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は国内旅費として学会発表分のみを計上してあるが、次年度に繰り越された予算を、研究に必要な情報を積極的にとりいれるため、学会参加費に計上をしたいと計画している。
|
Research Products
(2 results)