2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K02596
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 江依子 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30342033)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フェイズ / 情報構造 / 端素性 / 外的併合 / 内的併合 / 島の効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、現代英語の移動現象を中心に検証し、情報構造とフェイズの関連性について考察を行った。具体的には先行研究の問題点を探りながら、フェイズ領域と情報構造の関連性について検証を行った。その結果、2003/2004の自身の仮説「フェイズ領域=前提」からさらに一歩進み、「フェイズは存在せず、代わりにEM、IMを駆動する素性が情報構造に基づき設定される」という新たな仮説を導きだすことに成功した。 この成果をまとめ、日本英語学会にて発表することができた。 この提案は進化的観点から見た場合重要な意義を持つと考える。本研究では「人の認知様式(―既知・未知―)が外的併合・内的併合を誘発する要因として働き、それがフェイズ領域の効果を表すのであって、フェイズ領域は認知の副産物である」ことを帰結として導くため、二つの点で、進化的に望ましい。一つは、フェイズ理論を言語理論から排除した点である。これは存在しない、という点でその前駆体等を探る必要がないということになり高度な進化的妥当性を持つことになる。第二に、情報の概念をとりいれることによって、他の生物種との関わりを論じることができるようになり、少なくとも従来の言語理論内の理論と比べて、前駆体を探る可能性が広がった。 本研究の目的は、情報構造の観点から普遍文法の中心的なシステムであるフェイズについてとらえることを究極の目的としているが、ここまでの研究によってフェイズ自身が存在しないということ、そして、その効果が情報構造の観点から導きだされるという点を示せたことは大きな成果であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年を予定していた本研究課題であるが、2年目には研究成果に対する想定以上の多くの知見が得られその検証に想定以上に時間を要し、予定より研究計画が遅れていったことに加え、3年目に研究代表者が 学内で共通科目代表、副教育類長になるなど計画当初には想定していなかった業務が入り、業務が多忙 を極めたため、当初予定の研究時間をとることが難しく研究が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度として、本研究課題のまとめを行う。具体的にはこれまでの研究から導きだされた仮説に基づきその妥当性を検証していくが、当初の研究計画の際に前提としていた極小理論から近年の極小主義理論において変遷があったため、その理論の変遷に照らし合わせての検証を中心に行う予定である。そしてれらの研究成果を国際学会誌あるいは国際学会にて発表するようにまとめていく計画である。 経験的データとして現代英語における移動に関する事例に加え、一致に関する事例および日本語の事例にも着手し遅れている本研究計画の完成を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延により、当初計画通りの予算使用ができなかったため。
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Research Products
(2 results)