2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K02599
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (30191787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 文子 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (70213866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語メタファー / 動物名 / 身体部位名 / 系譜 / 隠喩 / ネットワーク / 構造性 / 諺言的直喩 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の3種の科研費研究では、通算12年の研究期間に、英語動物名が人間比喩義の使用において構造性を持っていることを証明し、その具体例として実際の文学作品、19世紀初頭に出た一連の動物寓意詩の本文を校訂、日本語訳とメタファーに関する議論を行って、あらゆる動物の種名内において並行する構造性が存在することを確認した。それを継承する本研究では、これまで12年間に出版した動物名メタファーに関する12編の和文論文、共同研究論文集6冊、寓意詩6編の英語本文・日本語訳をまとめて、英語動物名メタファー論編、動物名寓意詩編の2冊の研究書を出版することを目標としている。 初年度の27年は、犬科の品種名の間に構造性が明確に見られる19世紀初頭寓意詩 "The Council of Dogs"を研究対象とし、英語本文の校訂から注釈、比喩義一覧、日本語訳を代表者が担当、それを基に本作品のメタファーの構造的使用を分担者が論じ、30ページの和文論文に纏めて、哺乳類名、鳥類名、魚介類名という類内と同じく、犬の品種名が上下関係、対立関係、類義関係のネットワークをなしている様相を確認した。 また、28年度の翻訳研究作業の準備として、9月に英国図書館に出張し、未見の寓意詩2編の英語本文を転写した。 メタファー研究の一環として他大学研究者との合同研究会を継続してきたが、その成果として、研究代表者と分担者を含む4人のグループで『英語コーパスを活用した言語研究』(大修館)という翻訳書を刊行した。この原著には第4‐5章定型表現・イディオムの研究、第6章メタファー研究が含まれており、これらの章を代表者と分担者が翻訳担当して、本科研研究の資料である英語動物名メタファーの収集に実際に役立てた。メタファー関係の英語研究書をテキストにして、この合同研究グループの新たな翻訳研究作業を28年度に開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定の英国出張を行い、"The Council of the Dogs" の本文校正確認と未見寓意詩2編の英語本文転写ができた事、5年間続けていたメタファーとコーパス関係の研究書の翻訳を終えて、出版できた事、継続研究テーマの一つ、古英詩のメタファー研究論文が国際学会発表採択となったことにより、初年度の研究活動は順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
既発表の動物名メタファー関係論文をまとめて一冊の研究書として出版すべく、クロスレファレンスと追加議論を加える編集作業を始める。また既発表の和文論文の中で、独創性の強いと思われる3点を改訂して英語論文とし、国際誌に投稿すると同時に、学会での口頭発表も行う。それらのテーマは「Shakespeareにおける動物メタファー」「Shakespeareに見える感情と四大のメタファー」「古英詩におけるメタファー・リンク - 炎・剣・戦士・怪物」を予定している。
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Causes of Carryover |
初年度の予算に計上していた英国出張旅費を、1年間研究期間を延長した別の基盤研究C「英語メタファーのネットワークの研究」科研費より支出し、新規パソコンと動物メタファー研究の資料となるShakespeare戯曲全集古版一式の購入を、研究分担者として参加している基盤研究C「英語感情メタファーの認知構造と意味の複合性」科研費より支出したため、その分が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その残額は28年度7月の2週間の英国出張旅費とShakespeare関係の研究書の購入に充てる予定である。
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