2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K02599
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (30191787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 文子 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (70213866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英詩 / メタファー / レトリック / 構造性 / 歴史的系譜 / 概念メタファー / Beowulf / Shakespeare |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度の英国での国際学会の口頭発表と今年度の大学院の授業の内容と資料から3点の論文執筆を行い、まず古英詩Beowulfの怪物を表すメタファーの新解釈を提示する英文論文を海外の出版社から刊行し、次いで英語感情名詞のメタファーについて、fearを中心とする類義語と反義語との関係からその構造性を論じた和文論文1点を刊行した。 その和文論文の結論に基づいてさらには、分担者との共同研究テーマであるShakespeare's Sonnetsに見える感情語のメタファーとレトリックの分析を行い、次年度に刊行予定の和文論文の草稿を作った。 過去の3種の科研費補助金を受けた研究(12年間)においては、英語動物名のメタファーの構造性について分担者と共に20余編の論文を執筆刊行し、その構造性がまとめて現れている19世初頭児童向け動物寓意詩7編の本文校訂・完全和訳・レトリックと歴史的事実に関する注釈を行い、メタファーの構造性を論じた。これらを再編集して『英語動物メタファーの構造性と系譜』(仮題)という研究書の出版も本共同研究の目標の1つで、これについては出版社との交渉で2冊に分ける案も出ている。この編集作業は部局の耐震工事に伴う研究室移動の影響でほとんど進まなかったが、1年延長した2019年度の秋期に再び英国図書館に赴き、未見の動物寓意詩の閲覧と本文転写を行い、この翻訳やメタファー論考を行って、目指す研究書の構成を整える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度には次年度の所属部局研究棟の耐震工事に先行して全研究室・事務室の移動が行われ、特に秋期の3か月に書籍の梱包や機器の移動と再配置をしたので、研究時間が十分に取れなかった。大半の書籍と資料を倉庫に入れたため研究資料が不十分となり、過去の動物メタファー論20本の編集作業は滞り、予定の海外出張も取りやめ、書籍の購入もしなかったので、研究費が大幅に残り、これらの理由から研究期間を1年延長した。 しかし前年度の国際学会の口頭発表と今年度の大学院の授業の内容と資料から論文執筆を行い、古英詩Beowulfの怪物を表すメタファーの新解釈を提示する英文論文1点と英語感情名詞のメタファーをfearに注目して反義語との関係から論じた和文論文1点を刊行した。その和文論文の内容と結論に基づいて、分担者との共同研究テーマであるShakespeare's Sonnetsに見える感情語のメタファーとレトリックの分析を行い、今後に刊行する和文論文の草稿を作った。
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Strategy for Future Research Activity |
延長した今後1年間では、Shakespeare's Sonnetsにおける感情語のレトリックとメタファーの論考を続けて、まとまった和文論文を刊行し、Wilfred Owenの戦争詩に見える動詞を中心とするメタファーの技法も再考察する。これまで30年間の古英詩の研究成果をまとめて、Beowulfにおける剣の擬人化の技法を説明する和文論文を執筆し、学会での口頭発表と記念論文集への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
2019年度に予定されている所属部局の研究棟の耐震工事のため、研究代表者と分担者の研究室の他キャンパスへの移動が急に決まり、秋期の3か月間を研究室の書籍等の梱包や解体再整理に費やし、大半の資料と書籍を倉庫へと一時保管したため、研究環境が悪化し、研究時間が十分に取れなかったた。この引っ越しのため9月に予定していた英国出張も取りやめたことで、旅費を中心として研究費が未使用で残った。この研究の遅延を取り戻すべく、研究期間を1年延長し、2019年度に英国出張を行って英国図書館等で資料を閲覧する。また物品費で最新のiPad Proを購入し、研究環境を整える。
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Research Products
(3 results)