2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structure and History of Metaphorical Expressions in English
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15K02599
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 秀樹 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (30191787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 文子 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (70213866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタファー / 英詩 / 擬人化 / 古英詩 / Beowulf / 動物寓意 / 翻訳 / 身体部位名 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「英詩メタファーの構造と歴史」は、英語史と歴史言語学の専門研究者が認知言語学専門の分担者と共同で、古英詩から現代英米詩を対象に身体部位名・動物名・感情表現の3つのカテゴリーが関わるメタファー表現の構造性と歴史的伝搬を明らかにすることを目指している。研究の方向性と目的は次の3点であった。 1.『英語動物名のメタファーI, II』(仮題)の出版を目指して、手元にある和文論文10余本と19世紀英国児童向け動物寓意詩の翻訳とメタファー論考の原稿にクロスレファレンスを施し、補足・関連付をする編集作業を行う。2. 古英詩Beowulfのメタファー表現を論じた英文論文を作成し、国際学会で口頭発表し、専門誌への投稿掲載を目指す。3. 研究分担者の課題である「英語感情メタファー」の研究に参加し、本研究課題と密接に関連する中世頭韻詩からShakespeareに至る英詩の感情語の表象とメタファー表現の系譜の研究を進める。これまでの4年間では特に、2. Beowulfのメタファーと擬人化の研究が進捗を見せ、英国の国際学会での3度の口頭発表と専門誌への2本の英文論文掲載がかなった。 最終年度2019年には9月に英国図書館へ出張し、未見の19世紀初頭動物寓意詩の閲覧と転写を行った。本詩はこれまでに転写・日本語翻訳・メタファー論考を行った6点の動物寓意詩と異なり、ナポレオン戦争を題材にしている点で、国を表す動物表象という新たな視点が得られ、メタファー義の考察には、その英詩が創作された時代の歴史的背景と映像資料が重要であることを再認識した。18-19世紀の英詩の場合は、当時のニュース・メディアであった政治風刺画が重要参考資料となることが分かり、新たな研究の契機となった。 本共同研究で得られたメタファーの知見を盛り込んだ大学生向け英語リーディング教科書の出版も行った。
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