2016 Fiscal Year Research-status Report
英語中間構文と同族目的語構文におけるASPPの統一的分析
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15K02601
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
松本 マスミ 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10209653)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ASPP / 中間構文 / 同族目的語構文 / 非特定目的語削除構文 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画通り「データから見た英語同族目的語構文(以下、CO構文)の特性」を執筆することができた。先行研究におけるCO構文のデータを、動詞の特性、COの特性、様々な構文におけるCO構文、CO構文の意味特性、CO構文と比較される構文という5つの観点からあらためて包括的に整理しなおした。 特に、動詞、CO、CO構文という3つの観点を取り上げたのは、CO構文では「同族」目的語ということで、動詞とCOが文法範疇としては異なるが、意味的には概して共通しているという特徴を有しているためである。また、共通の意味を持つ動詞とCOが1つの構文を作り上げているというこの特徴が、CO構文を他の構文を区別する最も大きな特性の由来となっているという結論に達した。 上述の論考は、研究代表者が以前執筆した「データから見た英語中間構文の特性」と対比して考察することにより、ASPPの構造の分析の発展につながることが期待される。 さらに、ASPPの構造について検討を続けた。非特定目的語削除構文(USO構文)がCO構文と対照的であることに着目し、Mittwochの研究を再点検した。研究代表者はこれまでも、USO構文が可能な動詞とCO構文が可能な動詞を比較して成果をあげている。今回の研究の結果、特に動詞と目的語が制限節に入るとき目的語を削除することができるというMittwochの主張が、ASPPとそれを超えた構造を考える際に参考とする道筋をつけることができ、平成29年度にこのことを論考としてまとめる準備を進める予定である。また、MiyagawaによるExpressive Structureなどの考え方も組み込んでASPPの構造を引き続き検討することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定していた同族目的語の論文も出版することができた。左膝の負傷のため研究会を開催したり発表したりすることはできなかったが、文献を利用することで研究を進めることができた。ASPPの構造についても、非特定目的語削除構文やExpressive Structureという新たな視点を導入しながら進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、2名の研究者を海外から、1名の研究者を国内から招き、本研究に助言を受ける他、VoiceP, ASPPのテーマで国際研究集会を開催し、ASPPPの存在について最新の知見を得る。また、日本語において中間構文と同族目的語構文に相当する表現を中心に研究を行う。平成30年度は、引き続き日本語を中心に研究を行うとともに、成果をまとめ、論文執筆や研究発表の準備をするとともに、通言語的な見地や他の構文との関係からASPPモデルを調整する。 平成31年度は、これまでの研究成果を発表する。 研究期間を通じて、国内外の学会/研究会に積極的に参加し、最新の知見を得る。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、当初2名の研究者を海外から招いて国際研究集会を開く予定であったが、研究代表者が左膝を負傷し、歩行が困難となったため、研究者を招くことも、こちらから出張することも不可能になった。 また、北海道で学会発表の予定であったが、こちらも辞退せざるをえなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
順調に回復しているため、2名の研究者を海外から招き国際研究集会を開く予定である。また、積極的に海外の学会にも参加する予定である。
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