2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Study of Deverbal Adjectives with -able
Project/Area Number |
15K02615
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
児馬 修 立正大学, 文学部, 教授 (10110595)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 派生接辞 / -able / 項の継承 / 混種語 / ロマンス接辞 / ゲルマン接辞 / 外来接辞 / 母語化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,本研究の中心課題である派生接辞 -able と関係の深い、中英語の形容詞able の調査を、下記項目①-⑤について行った。さらに、その調査結果を含め、この4年間の研究成果をまとめて冊子体の報告書(総ページ60)として作成した。 調査項目:① 中英語におけるable の異綴り ② 同 able の動詞用法 ③ 同 able の屈折 ④ 同 able の補部構造 ⑤その他の振る舞い
① については、すくなくとも14種の異綴りがあることを確認した(able, abil, abel, abul, abylなど)。この結果は今後のコーパス研究などで活かせるものである。 ② 中英語では現代にみられる動詞 enable はまだなく、その代わりに ablen が使われたが、その定動詞の用法だけでなく、非定形動詞(to不定詞、原形)としての用法も観察された。この事実が本研究課題である -able の発達とどう関連するか、また、なぜ動詞の ablen が廃れたか、については今後の課題である。③ については、英語本来の屈折型比較・最上級(-er, -est)とロマンス由来の迂言型(more ...,most...)とが併存していることが観察される。不思議なことに、単音節である able にロマンス迂言型の頻度がより高いことが確認された。able がまだ外国語として意識されていたことを示唆する事実として興味深い。④ be able to不定詞が中英語に使われていたことは知られているが、be able to NPというパタンが意外に多いことが観察された。⑤ 中英語には able と等位構造をなすフレーズが頻用されていることが観察される(apt and able, mighty and able など)。これも ③ と同様、まだ外国語として意識されていたからであろうか。
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