2018 Fiscal Year Annual Research Report
A contrastive study of English and Japanese expressions of part-whole relations
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15K02618
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 秀毅 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (50341186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 部分構造 / 比率的数量詞 / 割合 / 比率 / 数量詞遊離文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、比率関係を表す日英語の句・節表現に注目した。日本語では、句表現と節表現(数量詞遊離文)によって比率関係が表される(‘その本のほとんど’vs.‘その本をほとんど読んだ’)。田中(2015)は、井上(1978)が観察した‘花子が積んであったたくさんのみかん箱を{ほとんど/2,3個/*3個}投げ捨てた’のように先行詞に数量詞が含まれる数量詞遊離文(以下、「二重数量詞文」と呼ぶ)を踏まえて、遊離数量詞と先行詞に含まれる数量詞の種類が、それぞれ比率的数量詞(‘ほとんど’など)と基数的数量詞(‘たくさん’など)にならなければならない(逆の組み合わせは許されない)と主張している。 一方、英語の比率表現については、句表現である部分構造に複数の数量詞が生じうることが、Barker (1998)によって指摘されている。例えば、half of the booksの解釈は、①「ある本の集合のメンバーの半分(=冊数)」と②「すべての本について半分(=ページ数)」で曖昧になるが、half of all the booksの解釈は②しかないという。ここで注目すべきは、後者の例で2つの数量詞がどちらも比率的で、二重数量詞文の場合と対照的なことである。Reed (1996)は、ofの前に分数や百分率の表現がくるとofの後ろに数量詞allが生じうると指摘しているが、このような表現と日本語における‘全有権者の3割’のような表現の対応関係が認められる。すなわち、複数の個体からなる集合のすべてのメンバーをまとめた上で、その比率を指していると考えられる。この見立てが正しければ、*most of all those interviewedが容認されないというReedの観察は、mostが複数の個体からなる集合の一部を指す(most people vs. *most person)ことによると説明される。
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Research Products
(3 results)